監督の声だけが響く、シュールな現場

――劇中、関くんはいろいろ細かい作業をしますが、実際の渡辺さんは器用な方ですか?

 弟と違って、僕は本当に不器用なので、そこも不安でしたね。もちろんスタッフさんに手伝ってもらう部分も多いのですが、関くんは右利きの設定なので、左利きの僕はまず右手で文字を書いたり、お弁当を食べる練習から始めました。あと、ドラマに出てくる折り鶴もかなり折りました。

――現場でのエピソードがあれば教えてください。

 原作もかなりシュールですが、現場もシュールなんです。(ツッコミキャラである)横井さんのセリフも、心の声がほとんどで、監督が「スタート!」の声をかけた後、彼女の心の声を読み上げる。そんななかで、僕らがお芝居をしていくという感じなんです。原作の関くん像を大事にして作品を作っているので、原作ファンの方にも楽しんでもらえる面白い作品になっていると思います。あと、1話完結なので、原作を知らない人も、見逃しても、気軽に楽しんでもらえると思います。

――現在、憧れている先輩俳優はいますか? また、将来的にどんな俳優を目指したいですか?

 憧れの先輩はたくさんいらっしゃいますが、少し年上の方だと高良健吾さんや山田孝之さん、もっと年上だとリリー・フランキーさんといった、お芝居の巧さだけではない魅力を持った役者に惹かれます。いつか狂気を前面に出した殺人犯の役をやってみたいです。

渡辺佑太朗(わたなべ・ゆうたろう)
1994年3月14日、新潟県出身。2013年、男子限定オーディション「ダンリョク」ファイナリストに残り、14年、『5つ数えれば君の夢』で映画デビュー。その後、『忘れないと誓ったぼくがいた』『飛べないコトリとメリーゴーランド』、ドラマ「アゲイン!!」などに出演。劇団ハーベストの舞台「MIRACLE8」8/5~9@中野 劇場MOMOに舞台初出演。

「となりの関くんとるみちゃんの事象」
ドミノ、折り紙、避難訓練、そしてネコ。謎の男子生徒・関くん(渡辺佑太朗)が授業中に行う遊びは、なんでもない机の上を遊園地に変えていき、隣の席のマジメ女子・横井さん(清水富美加)を魅了していく! 同じく人気コミックのドラマ化「るみちゃんの事象」と2本立。
(C)2015森繁拓真・KADOKAWA刊/ドラマの関くん製作委員会
MBSにて毎週日曜・深夜0:50~、TBSにて毎週火曜・1:11~ 他放送中
http://www.drama-sekirumi.com/seki/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2015.08.07(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹