【熊本こぼれ話 その2】
「村上さんも舌鼓、謎のお好み焼き」

 4泊5日の熊本旅では、おいしいものをたくさんいただきましたが、村上さんがとくに楽しんでいた(ように見えた)のは、荒尾市名物の特大お好み焼き「高専ダゴ」です。

 熊本県北部にある荒尾市は、この7月に世界遺産登録が決まった「万田坑」という炭鉱遺跡がある街です。万田坑を見学した後に立ち寄ったお店「高専ダゴ 荒尾本店」は、ネーミングも、お好み焼きのサイズもその四角い形も、常識はずれといいますか、かなりのインパクトです。

こちらがいちばん大きなサイズの高専ダゴ「スペシャル」。

 お店の説明によれば、「高専ダゴ」という名前の由来は、〈近くの有明高等専門学校の学生さんに安く、お腹一杯食べてもらおうと焼いたお好み焼きは、いつしか皆様より“高専ダゴ”の愛称で 親しまれるようになりました。〉とのこと。

 “大学イモ”みたいなものでしょうか。

 一番大きな「スペシャル」は、よこ50センチ×たて30センチの特大サイズ。新聞紙1ページくらいの大きさですかね。素朴なおいしさで、これだけ大きくても飽きずにいくらでも食べ続けられます。

 村上さんがお店のお兄さんに「これ、熊本では有名なんですか?」と問いかけると、「いやあ、熊本市内ではほとんど知られてないですねー」との回答。

 名物とはいえ、かなり謙虚な名物のようです。

 これからも「あの村上春樹さんも舌鼓!」などと喧伝することはなく、地域限定の名物として愛されていくのでしょう。好感が持てます。

 お近くにお立ち寄りの際はぜひ。

2015.08.07(金)
文=CREA編集部
撮影=都築響一、CREA編集部

CREA 2015年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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