CREA WEBの好評連載コラム「世界極楽ビーチ百景」で海外の至福ビーチ事情をレポートし続けているビーチライター・古関千恵子さんが、特別篇として国内の厳選ビーチをおすすめします。三浦、伊豆、房総といった首都圏からのアクセスに優れた場所から、沖縄の離島や小笠原といったスペシャルな南国まで、日本が誇る10の絶品ビーチをご紹介!

#007 西伊豆(静岡県)

鉄道の通らないプチ秘境でのんびり気分の旅を

西伊豆は車やバスでしかアプローチできない分、賑わいも控えめ。温泉ものんびり楽しめる場所です。(C)西伊豆町観光協会

 静岡県の西伊豆は、東京から車ならば2時間半程度(夏の渋滞時は別として)。けれど電車が通っていないせいか、東伊豆に比べてプチ秘境な感じが空気に漂っています。

安良里漁港は旅情たっぷり! 加山雄三さんのクルーザーも停泊しています。

 実は、私の祖母は西伊豆中部の安良里の人。子供時代の夏休みは西伊豆で過ごしていました。

 安良里という地名、あまり聞いたことがないかもしれませんが、パンのCMで深津絵里さんが田舎にサンドイッチ屋さんを開くお話のロケ地になっている村なので、テレビを通して風景は見たことがあるかもしれませんね。CMでお店の窓の向こうに見える風景が40年前と変わらず、すぐにわかってしまうのも、すごいことかも。

このバス通り沿いにCM設定上、深津絵里さんが切り盛りするサンドイッチ屋さんが。看板は外されていますが、オープンセットのように建物は残っています。

 西伊豆には、修善寺から南下して土肥、宇久須、安良里、田子、堂ヶ島、松崎などの地名が続きます。入り組んだ海岸線沿いには、昔ながらの漁村あり、風光明媚な景勝地あり、頭の中で「新日本紀行」の音楽が流れるような風景に出会えます。なかでも、おすすめは安良里と宇久須の間の黄金崎です。

 ある日、安良里のご近所の子供からの「黄金崎へ行こうよ、本当にラムネみたいな海なんだよ」とのお誘いが。それまでキレイな海を見たことがなく、お絵かきでは海の色を深緑に塗っていた私としては、にわかには信じられず……。それで、行ってみることに。

 黄金崎へは国道から脇道に入り、古い隧道を越えて行きます。この隧道の中ほどの天井には、掘削の一打目を打ったという逸話を持つオノが埋め込まれていたのですが、このオノがかなりの恐怖で……。慌てて、駆け抜けました。

2015.08.08(土)
文・撮影=古関千恵子