旅館道 その2
「器も中身も遊び心にあふれる会席料理を堪能」

宿のそこかしこで目を楽しませる箱根寄木細工を料理でも再現、というアイデアに驚かされる。

 計算され尽くした設計が演出する、自然に囲まれた美しい温泉に癒された後は、地元の食材を生かした特別会席も楽しみ。特に、会席のプランで提供される遊び心があふれるお料理には、ちょっと驚かされる。

 先付に続いて運ばれて来るのは、美しい寄木細工の箱。市松模様の蓋を開けると、そこにもまたかわいい2種類の市松模様が! サーモンとかまぼこを昆布で巻いた「海の幸の市松」と赤こんにゃくとうどをズッキーニで巻いた「山の幸の市松」だ。その他にも一品一品、季節の素材を生かしたお料理が詰められた八寸は、目でも舌でも楽しみながら食べることができる。

このままステーキにしたいような、サシがきれいに入った牛肉を味噌と出汁で仕上げる。

 もうひとつ、特別会席の台の物は「明治の牛鍋 あわせ味噌仕立て」。これは古くから欧米人にも愛された箱根の地にちなみ、欧米料理を真似して横浜で生まれた明治時代の牛鍋を再現したもの。厚みのあるとろけるような霜降り牛肉を焼いて、合わせ味噌、豆腐や野菜も足して煮込んで食べる。ステーキ、シチューという洋の料理と鍋という和の料理が見事に調和した一品だ。

左:ロビーでは、やわらかいお餅の中に小さな本練り羊羹が入った箱根銘菓の湯もちや甘夏ゼリーなど季節のお菓子とお茶が振舞われる。
右:緑を眺めながらビールでのどを潤す。まさに至福の時間。

 食事の前後には、夏の期間限定で、須雲川のせせらぎが聞こえる「箱根せせらぎCHAYA」でかき氷やソフトドリンクが提供される。夜のロビーでは、地元名産の甘味が振る舞われたりのお楽しみも(ともにサービス時間内無料)。寄木細工をあしらったグラスで味わうビールもまた格別だ(有料)。

<次のページ> 旧東海道“裏箱根”の楽しみ方を総支配人に聞く

2015.08.03(月)
文=小野アムスデン道子
撮影=山元茂樹