よりリーズナブルに泊まれるもう1軒のロッジ

夜明け前にリトル・クララの周囲をガイドしてもらった。この木にぶら下がっているのは鳥の巣。小鳥たちが巣の下からひっきりなしに出入りしていた。

 リトル・クララでの最後の朝、早起きをして、ガイドとともにウォーキングに出かけた。ロッジの近くで、木々がお行儀よく並んでいる場所を通りかかった。そこは、川だという。「今は水がないけれど、8月になって雨が降ると、ここは川になるんだよ」と。

 1年のうちの数週間、あるいは数日だけの川。その水分で残りの季節を生き抜くという。過酷な自然環境の中で、さまざまな生きる術を獲得してきた、生き物たちの生命力に驚いた。そんな話を聞いていると夜が明けてきた。遠くに砂丘が見える。

クララ・デザート・ロッジのメイン棟テラス。広々としていて、もちろん、砂丘を望むことができる。

 ウィルダネス・サファリは、ソススフレイにもう1軒のロッジを経営している。クララ・デザート・ロッジだ。

左:リトル・クララのランチ。砂漠の只中で、遠くに砂丘を眺めながらこのクオリティの食事をいただけるぜいたく。
右:クララ・デザート・ロッジの客室棟。小さなテラスが付いている。三角屋根の後ろの部分に外から上る階段があって、屋上へと続く。

 リトル・クララよりもリーズナブルで、カジュアルな雰囲気。客室数もリトル・クララが11室なのに対し、23室ある。客室もこぢんまりとしていて、予算によって選ぶことができる。より、ソススフレイに近い場所にあるのはクララ・デザート・ロッジのほうだ。といっても、車で20分程度の違いだけれど。

クララ・デザート・ロッジの室内。ベッドには蚊帳が付いている。

 どちらにも共通しているサービスがある。屋根の上で眠れることだ。どの客室棟にも屋上があって、夜になると、ここにベッドメイキングをしてくれる。室内のベッドを使ってもいいし、満天の星の下で眠ってもいい。1年のうちの300日以上が晴天という砂漠ならではのオープンエアベッドなのだった。

左:夜になると屋上にもベッドメイクをしてくれる。この日は満月に近かったのでかなり眩しく、見える星も少なめだった。
右:ロッジのスタッフはいつも笑顔で、とてもフレンドリー!

 短い滞在だったが、夜明け前に起き、砂漠を愛でて、動物たちと出会い、星空を眺め、ナミブ砂漠を満喫した2日間だった。でも、もし、次に機会があったら海の生き物たちに会いに行ったり、ヒンバ族の村を訪ねたりもしてみたくなった。世界で最も人口密度が低い国のひとつというナミビアは、冒険心をかき立ててくれる国だった。

帰りのプロペラ機の窓から、霧が見えた。大西洋上空から砂漠に向かって、もくもくと濃霧が押し寄せていた。この霧の水分が、砂漠の生き物たちの命を支え、砂の鉄分の酸化を助けて砂漠を赤くしているのだ。

Wilderness Safaris(ウィルダネス・サファリ)
URL http://www.wilderness-safaris.com/

Little Kulala(リトル・クララ)
URL http://www.wilderness-safaris.com/camps/little-kulala

Kulala Desert Lodge(クララ・デザート・ロッジ)
URL http://www.wilderness-safaris.com/camps/kulala-desert-lodge

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航130回超・60カ国超、海外スパ取材230軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)が4刷、台湾版も好評につき、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』が発売中!
Twitter https://twitter.com/aisha_t
ブログ http://ameblo.jp/aisha
「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周」Facebook
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Column

たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周

ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

2015.07.17(金)
文・撮影=たかせ藍沙