スナックやビスケット類もいろいろ

 「フォフォシュ」は、リスボン郊外のベーラシュという村の銘菓で、“ふわふわ”という意味なのだそう。パォンデローよりも、さらに粉が少ない生地にカスタードクリームをサンドしてあります。食べると、ふわふわ。誰もが大好きになる味。

左:「フォフォシュ」220円。 右:「ボーロ デ フルータ(アソーレス諸島のフルーツケーキ)」1,250円、1切 200円。

 「ボーロ デ フルータ」は、実は、私がパウロさんと智子さんのポルトガル菓子を知るきっかけになったお菓子。数年前、友人がポルトガル旅行のお土産としてプレゼントしてくれたのが、これでした。小さいのにずっしりと重く、カットして食べると、その豊かな風味としっとりとした食感、上品で奥行きのある味わいにびっくり。これだけをポルトガルに買いに行きたいと思ったほどでした。

 改めて智子さんにお聞きすると「大西洋に浮かぶアソーレス諸島の伝統菓子です」とのこと。きび蜜を使い、ラム酒とポルト酒に漬け込んだレーズンがたっぷり。長時間蒸し焼きにするのだそう。「素朴なきび蜜の甘みと豊かなバターの香りが特徴です」。

 大好きなお菓子を日本で買えるようになって、とても幸せ!

左から、「パスティシュ デ バカリャウ(干しタラのコロッケ)」2個 220円、「エンパーダ デ フランゴ(チキンパイ)」250円。

 塩味のスナック菓子も、ポルトガルと同じように作って並べられています。

 「パスティシュ デ バカリャウ」は、干しタラのコロッケ。「ポルトガルでは、どこのカフェにも必ずある身近なスナック。ワインやビールとどうぞ」。素朴でおいしくて、いくつでも食べられそう。

 「エンパーダ デ フランゴ」は、アレンテージョ地方のチキンパイ。お店では“丹波あじわい鶏”を使っています。チキンを煮込んだスープを生地に練り込み、焼き上げる途中に何回もスープをかけるという手間のかかった一品。そのため、とても味わい深い。見た目はシンプルなのですが、クセになるおいしさ。

ポルトガルの布でエキゾチックなムードの棚。

 ビスケット類も独特。「ビスケットも、16世紀中頃にポルトガルから伝わったとも言われているんですよ」と智子さん。お店のコーナーに並んでいるのは、数種類。買いやすいように袋に入っています。

 パイ生地の「パルミエールシュ」はサクサクの食感。砂という意味の「アレイア」は、ガリガリした食感。プレーンやシナモン風味の他、丸くて小さなチーズ味、チーズ&ピリピリ味などがあります。「ベーベドシュ」は、ワイン入り。ふわっとした食感です。

 ぜひ買って帰りたいのが「雄鶏トウモロコシ粉ビスケット」。「パウロのカステラ」と同じ、幸運を運んでくるという雄鶏の焼き印も愛らしい。トウモロコシ粉を使っていて、軽くて香ばしく、とても食べやすいのです。

右下の四角い「雄鶏ビスケット」から時計回りで「パルミエールシュ」「ベーベドシュ」「アレイア シナモン味」「アレイア チーズ味、ピリピリ味」各1袋 300円。

 日本の洋菓子のルーツともいえるポルトガルのお菓子。遠い遠い国のお菓子が、京都で味わえるようになり、買えるようになりました。そして、ポルトガルでこだわってカステラを焼いてきた菓子職人のパウロさんが、今度は日本で、素材を厳選し、持てる技術を駆使して新しいカステラを焼いています。手仕事から生まれる、コクと旨味のあるカステラは絶品。ポルトガルと日本、両方のお菓子の素晴らしさを実感できるでしょう。

 毎日のおやつとして食べたい、シンプルで飽きのこないポルトガルのお菓子とカステラです。

『カステラ ド パウロ』
所在地 京都市上京区御前通今小路上ル馬喰町897 蔵A
電話番号 075-748-0505
URL http://castelladopaulo.com/

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2015.07.12(日)
文・撮影=そおだよおこ