私がこの秋に選んだアンゴラニットも、一見シンプルでベーシック。でも実際に体を入れてみると、途端にニュアンスある表情に。¥54600

 ハイクオリティなファッションを時代に合った適正価格で手に入れられるのは、国内ブランドならではのメリット。最近、まさにそれを実感しているのが、研壁(すりかべ)宣男さんがデザインするサポートサーフェスです。彼は若くしてイタリアに渡り、ロメオ・ジリなどの有名ブランドでデザイナーを務めた経験もある人。その長期に渡るイタリアでの活動の後、帰国。自身のブランドとして、いままでにない、彼目線から見た“女性に着用してほしい服”を創るという発想のもとに、日本での活動を開始した経緯があります。

後ろ身頃のVネックなど、細やかなディテールにもこだわりが満載
ジャケットもニットだと堅過ぎない印象。袖を通してみると、シェイプされたウエストラインが女らしい。¥59800

 その特長は、一見シンプルななかに潜む、独自の立体裁断によって生まれる独特のフォルム。といってもかっちりとした構築的なものではなく、布の柔らかさを生かした流動的なデザインです。布を寄せたりねじったりすることでできる豊かなドレープが、他に類のないシルエットを創造。ハンガーに掛かっている服を見ただけでは、それが着用された時にどんなカタチになるのか想像もつかないのですが、でもだからこそ、とても着てみたくなるのです。

ニットジャケットの衿元は2way仕様。スタンドカラーにすれば、マニッシュなカッコよさも味わえます

 彼は女性たちに「女のひとしか持ち得ないボディラインの美しさをもっと意識してほしい」とも。流れるようなドレープが付かず離れず体を包み込むサポートサーフェスの服は、匂い立つような女らしさを表現することのできる、成熟した女性のためのファッションといえるでしょう。

Column

河井真奈の「デイリー名品」

CREAでもお馴染み、スタイリストの河井真奈さんが見つけた、日常で愛用できる「ファッションの名品」をお届け!

2011.11.03(木)
Text:Haruko Murakami