順番は、争いが絶えないので籤で決めることに

 いよいよ祇園祭のハイライト。前祭(さきのまつり)の山笠の巡行の見どころを、たっぷり2回に分けてお伝えします。

 巡行が始まるのは17日午前9時。先頭は長刀鉾です。同日夕方から神輿が巡行する神幸祭に先立ち、山鉾が巡回することで厄を集め、街を清めます。

扇子を持った音頭り取の掛け声で、長刀鉾を先頭に巡行が始まります。
四条通の巡行。京都の東西南北にまっすぐな街並みに、すっくと立つ鉾がよく映える。
四条麸屋町で行われる注連切り。昔は四条御幸町で行われ、寺町通を北上したそうです。神域との結界を解き放って、山鉾が神域に進んでいくという意味合いがあります。昭和31年から役員に代わって稚児がやっています。
多くの鉾が稚児人形を乗せており、生稚児が乗るのは、長刀鉾だけです。祭りの間稚児は神の使いとされているので、地面に足を下ろせません。そこで、強力(ごうりき)に担がれて移動します。

 自慢の山鉾をどの順番で披露するかは一大事。昔から争いが絶えなかったので、事前に「籤取り式」を行って、順番を決めるようになりました。「籤改め」は、当日に籤と照らし合わせて行列の順番を確認するものです。ただし、籤取らずといって、古例によって順番が決まっている山鉾もあります。

籤改めに向かう役は山鉾によって、子供、長老と様々です。
籤改め。うやうやしく籤を差し出します。

 もともと籤改めでは奉行が籤を確かめていましたが、今は奉行役の京都市長が行います。写真は門川大作市長。

 しかし籤を引く必要がない鉾もあり、先頭は必ず長刀鉾と決まっています。

籤改めが無事に終わると、鉾を招き寄せます。
四条寺町の御旅所前では、神職のお祓いを受けて、八坂神社を遙拝します。

 では、絢爛豪華な「動く美術館」を見て行きましょう。

2015.07.13(月)
文・撮影=小林禎弘