Magnificent View #631
バターリャ修道院(ポルトガル)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 ポルトガルと隣国カスティーリャとの間で1385年に起こった「アルジュバロータの戦い」。この戦争でのポルトガルの勝利を記念して建てられたのが、この修道院。「バターリャ」は、ポルトガル語で「戦い」を意味し、修道院が立つ街の名前にもなっている。

 ポルトガルの王位保有を主張し攻め入ったカスティーリャ軍を、わずかな兵で迎え撃ったのは、ジョアン1世。聖母マリアに祈りを捧げ、独立を死守したことから、修道院は正式名称を「サンタ・マリア・ダ・ヴィトーリア(勝利の聖母マリア)修道院」と名付けられた。

 戦いの3年後に始まった建設は、16世紀初頭まで2世紀にかけて行われ、延べ15人の建築家が携わり、この間に7人の王が在位。修道院の内部は、ゴシック様式の回廊やマヌエル様式の装飾など、各時代の建築様式が調和している。長い建築年月を物語るのが、「未完の礼拝堂」。1437年に着工されたものの完成せず、いまだに天井もない。

 未完とはいえ、ここはポルトガルの歴史上、大切な場所。独立を象徴する建築物として、ユネスコの世界遺産にも登録されている。

Column

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2015.06.23(火)
文=芹澤和美