満天の星空の上を歩くという神秘体験

陽が傾くとオレンジ色が増してくる。こんな光景を目の前にして、このカップルはどのような言葉を交わしているのだろう。余計なお世話ですが(笑)。

 ウユニ塩湖の日帰りツアーには、通常の昼間のツアーとは別に、夕食後に出かけていく星空ツアーがある。その名の通り、満天の星を見に行くツアーだ。雨季なら水のある場所に行き、足もとに映り込んだ星空の上を歩くことができるというもの。そのまま夜が明けるまで塩湖に留まる。

水と乾いた塩の境目がみるみる動いていった。その動きも、空の色も、足もとに映り込んだ雲も、すべてがドラマティック!

 初日は、地元のガイドさんとともに、夕食後の遅い時間に出発。塩湖の水辺に着いて車を降りると、参加者から「わーっ!」歓声が上がった! と、イズラエル君が私のもとに来た。「アナタのカメラならスローシャッターにできるよね?」と。同じツアーで、一眼レフカメラを持っている参加者は少なかった。

 で、彼とともに小一時間、スローシャッターを切ってやり直した結果がご覧の下の写真(笑)。何人かで同時に懐中電灯を使えば簡単だったのだろうけど、ライトを持ったイズラエル君がひとりでUYUNIの文字を照らしてくれた。

地元の学生ガイド、イズラエル君が、ひとりで懐中電灯を点けたり消したりしながら「UYUNI」と文字を描いてくれた。これに時間をかけすぎて、星空撮影の時間が短くなってしまった(汗っ)!

 はっ、と我に返ると、夜明けまでに時間があまりないじゃないの!! 数枚撮ったところで地平線がうっすらと明るくなってきた。徐々に姿を消していく星たち。皆さん、星空の美しい写真をたくさん撮りたかったら、ガイドさんと一緒に遊んでいてはいけません。星の写真に集中するべし!

 そんな反省をしながら挑んだ星空ツアー2日目。今度はスーパーコーディネーターのトシさんのナビゲートだ。しかも、自然写真家の高砂淳二さんに教えていただきながら撮影できるという、何とも贅沢な夜。詳しくはこちらの記事に書いたが、撮影のためだけに動くので、通常のツアーとは違い、決められたスケジュールはない。撮影にベストなタイミングでベストな場所へと車を走らせるのだ。

 まずは、日が沈む前に夕景の撮影へ。トシさんは、水のある場所の縁で車を停めた。すると、潮が満ちるかのようにみるみる車の下に水が広がった。「これを見せたかった」とトシさん。ウユニ塩湖の、生き物のような水を見せてくれたのだった。

空も水面も星に埋め尽くされて、まるで宇宙に浮かんでいるかのよう!

 そして夕景の撮影、星空撮影へと続く。高砂淳二さんの「企業秘密」までこっそり教えてくださったご指導のお陰さまで、次々と絶景写真をカメラに収めることができた。

夜明けに、風がピタリと止んだ。

 プロの撮影でなくてもオンリーワン・トラベルのトシさんにガイドをお願いすることができるし、高砂淳二さん同行のツアーはこれからも開催される予定とのこと。また世界一周ができたらどこかでご一緒したい、などと密かな野望を持ったのだった。そして、世界一周の目的地の中で、一番にぎやかな数日間が終わった。

2015.06.26(金)
文・撮影=たかせ藍沙