島のアイコン“スリーピングレディ”とは?

仰向けに寝た女性のような形から“スリーピングレディ”と呼ばれる、フィンコール山。眠っているようで、コスラエ島をちゃんと見守っているようです。

 島のアイコンは、標高約630メートルの最高峰、フィンコール山。女性が横たわったような稜線を描いているため、“スリーピングレディ”と呼ばれています。島内をあちこち歩き回っていても、ふと、寝そべったレディに横目で見られている気がしてくるから不思議です。

板根を叩くと、こんこんと乾いた音がする、コスラエ島の固有種、“カ”の木。この木が密生するイエラの森にはドワーフ(小人)が住むと信じられています。

 東京・世田谷区のおよそ2倍の大きさのコスラエ島に、島民はわずか8000人足らず。散策していても、なかなか人に出会いません。道路から民家を覗きこんで、ようやく親子を発見。

 声をかけたら、小さな女の子はヤシの木の陰に隠れてしまいました。その木が細すぎるので、顔の半分も隠れていないのですけれど。お父さんと会話を交わしていると、安心したのか、木の陰からくすくすと笑い、覗いては隠れる、を繰り返します。その仕草がかわいくて!

ミクロネシア最大のマングローブの繁茂地、ウトウェ・ワラン・マングローブ・チャネル。カヌーで迷路のような水路をめぐるツアーが人気。

 帰り際、そのお父さんは「もっていきなさい」とヤシの実とバナナの房をお土産にもたせてくれました。なんて親切な人なんだと感心していると、この親子に限った話ではなく、どうやら島民性らしいのです。その後も、人に出会うたびにヤシの実をごちそうになり、お腹はもうたぷたぷに。

2015.06.13(土)
文=古関千恵子