ヨーロッパのお気に入り通りBEST12に選ばれた「クリムスカー通り」

 2015年4月にニューヨーク・タイムズが選ぶ「ヨーロッパのお気に入りの通り12」が発表されました。そこに堂々とランクインしたのが、プラハの「クリムスカー通り(Krymská)」。といっても……ガイドブックには載っていない、決して観光の中心エリアでもない。一体どうして“お気に入りの通り”に選ばれたのか、その真相を探るため早速、端から端まで歩いてみました。

クリムスカー通りの景色は緩やかな坂道。

 クリムスカー通りは、プラハ10区のヴルショヴィッツェ(Vršovice)というエリアに位置します。中心街からはトラム22番「クリムスカー駅」で下車すると、すぐ近くにアクセスできます。通りは途中で少しカーブしていますが、前半は緩やかな坂道。後半は比較的平らな通りとなっています。通りの両側に並ぶ20世紀初頭に建てられた比較的大きな建物群は、1階は店舗、2階以上は一般の住宅として機能しています。

 ヨーロッパの道には、すべて名前がつけられており、通りの端と端には大きな看板で目印があります。迷いそうになったら、この看板を目印に自分の居場所を正確に把握できる仕組み。複雑な日本の下町などに比べると分かりやすく、看板も大きくでているため見逃しません。

クリムスカー通りの看板。

 クリムスカー通りには、たくさんのレストランやカフェ、ショップがあるのですが、特にニューヨーク・タイムズで取り上げられたいくつかのスポットをご紹介しましょう。

 まずはベジタリアンの味方、クリムスカー通り2番地のビーガンレストラン「プレヴェル(PLEVEL)」。ビオとスローフードを基本にして、徹底した菜食主義者でも食べられる料理が評判です。もともと肉を多く使うチェコ料理ですが、それを野菜でアレンジしたメニューもあり、ヘルシーで人気メニューのひとつになっているとか……。野菜を使ったハンバーガーなど、近年のダイエットブームに合わせてメニューが作られているのも女性には嬉しいですね。

ビーガンレストラン「プレヴェル」。

 クリムスカー通り12番地には、店内にゆっくりとした時間が流れる「カフェ・ヴ・レセ(Café v lese)」があります。店名は「森の中のカフェ」という意味。まるで森の中にいるかのように、森の写真と動物の剥製が店内で迎えてくれます。定期的に展覧会やコンサートも催されるので、タイミングよく訪れれば、チェコの音楽を楽しみながらお茶をいただけます。

森にいる気分でくつろげる「カフェ・ヴ・レセ」。
このカップの看板が目印!

 街角では自転車をときどき見かけます。坂道の多いエリアですので、自転車での移動は大変そう……。でもプラハでは、有料ですがトラムや地下鉄の車内に自転車の持ち込みができるので、これからもっと普及していきそうです。

坂道の下にとめられていた自転車。

文・撮影=クレメントゆみ子