どこか懐かしい、ノスタルジックな世界遺産へ

 ベトナムは南北約1800キロメートルにも及ぶ細長い国。地域によって気候が違い、南部のホーチミン市は4月末ごろから雨季に入りますが、中部は逆に8月ごろまでが乾季。5月や6月はまさに乾季のまっただ中で、観光に最適なシーズンといえます。そこで今回はぐっと場所を変えて、ベトナム中部の街、ホイアンをご紹介します。

ホイアン旧市街の街並み。
街散策の起点にもつかえる日本橋。

 ホイアンは中部最大の商業都市ダナンから車で約30分の場所にある港町。16~17世紀の朱印船貿易時代には中継港として各国の船が渡来し、日本からも多くの商人がこの街を訪れました。

 最盛期には日本人街も形成されていたといわれているホイアンですが、古い街並みが残る旧市街は世界遺産にも登録されており、日本人が架けたと伝えられる来遠橋(通称:日本橋)を中心に、ノスタルジックな風景が広がっています。

ベトナム、日本、中国、フランスなど、各国の建築様式が折衷されたホイアンの旧家。
世界遺産のなかに、人々の日常がある。
街に沿って走るトゥボン川畔ののどかな時間。

 現在は世界遺産ということもあり、多くの人で賑わい、おしゃれなカフェなどもできてきていますが、それでも陰陽瓦を掲げた家々が立ち並ぶ旧市街は往時を偲ばせるのに十分。特に観光客もまばらな早朝は、鎧戸を閉じた家々が静寂のなかにひっそりとたたずむ、そんな昔ながらの街の雰囲気を楽しめます。

文・撮影=杉田憲昭