現代のかんじき、スノーシューで夜の雪山行

道しるべも、道路もない雪原や森を身体ひとつで進む。

 スノーシューとは、いわば西洋のかんじき。アルミフレームのスノーシューを両足に装着し、夜の雪山をトレッキングする。今回は約3時間かけ、片道1.4キロの行程。途中、夜空が開けた雪原や、雪化粧をした木々の合間を抜けたり、ちょっとした丘も越えてゆく。

 新雪の部分は歩きやすく、下ろした足がサクッと踏み込み、キュッと雪を圧縮する感触が心地いい。サクッ、キュッ、サクッ、キュッと、もくもくと歩を進め、ふと頭上を見上げてみると、満天の星空が!

ナイフひとつで手際よく焚き火をおこす、ガイドのヨーナスさん。

 目的地は小高い丘の森の中。ガイドのヨーナスさんは枯れ木を探してきて、フィスカルス製ナイフを駆使し、着火しやすい“キエヒネン”という鳥の形を削り上げる。薪を作り、火をつければ、あっという間に焚き火が完成。

左:スノーシューのガイド、ヨーナス・アラトルヴィネンさん。
右:ものの5分で火を起こしたガイドのヨーナスさん。サーミの人々は火をつけること、ナイフを使うことが生きるために大切なスキルだという。

 先住民のサーミであるヨーナスさんとの会話には、サーミのこと、フィンランドのこと、いろんな話題がのぼった。雪に包まれた森の中、ちらちら揺れる焚き火を前に聞く話は、ヒミツを分かち合うような親密さを感じるから不思議。一面雪で覆われた酷寒の大自然へ、身体ひとつで分け入る心もとなさも、日頃の暮らしでは味わえない冒険だ。

【問い合わせ先】
Nellim Wilderness Hotel(ネッリム・ウィルダネス・ホテル)

所在地 Nellimintie 4230, 99860 Nellim
電話番号 +358-400-415-989
URL http://www.nellim.fi/activities/winter/programs/

【取材協力】
Lapland-The North of Finland
URL http://www.onlyinlapland.com/

【情報提供】
フィンランド政府観光局
URL http://www.visitfinland.com/ja/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/