MoMA(ニューヨーク近代美術館)で開催中のウィレム・デ・クーニングの回顧展が話題だ。デ・クーニングはジャクソン・ポロックとともにアメリカの抽象表現主義を代表する画家。抽象表現主義は「熱い抽象」とも言われ、激しいタッチでキャンバスを埋め尽くすスタイルが特徴。第二次世界大戦後のニュ ーヨークが現代美術の中心地になるうえで大きな役割を果たしたムーヴメントでもある。今回の回顧展はMoMAが総力を挙げて企画・実現したもので、デ・クーニングという画家 の全貌を知ることができる初の展覧会となった。

Pink Angels c.
1945
Oil and charcoal on canvas 52 x 40" (132.1 x 101.6 cm)
Frederick R. Weisman Art Foundation, Los Angeles

 普段は複数の企画展が行われる6階のフロアすべてを使い、初期から晩年までの約200点の作品が展示されている。1904年にオランダのロッテルダムで生まれたデ・クーニング は地元で美術を学んだ後、26年に渡米、ニューヨークで画家としての活動を始めた。しかし模索の時代が長く続き、独自のスタイルを確立するのは40年代後半になってからだ。この展覧会ではオランダ時代のアカデミックな 画風の作品やアーシル・ゴーキーの強い影響下にあったニューヨーク時代初期の作品も展示されている。

2011.10.31(月)
text:Fumiko Suzuki