じつは2度目の三池組参加『極道大戦争』

――そういう意味では、これまで演じてきた役柄の振り幅が大きいようにも感じます。

 まだまだ役柄を選べる立場ではありませんし、キャスティングしてくれた方の期待に添えるよう、物語の役に立てるような芝居をすることを第一に考えていますね。実際、子持ちの役や、実年齢よりも上の役もやらせてもらっているのは、有難いです。今後も、役柄の振り幅を大きく持ちたいというか、「自分はこういう役しかやらないんだ」という気持ちは避けていきたいと思っています。

――さて、神浦組の若衆・アンガスを演じられた最新出演作『極道大戦争』ですが、初の三池(崇史)組参加が決まったときの感想は?

 『殺し屋1』や『オーディション』など、三池監督の作品はかなり観ていたので、今回のお話をいただいたときはうれしかったですね。実は、札幌で演技のレッスンをしていたときに、『クローズZERO II』にエキストラ参加しているんです。土浦ロケに行って、映画の現場ってカッコいいなと思っていたので、今回は2回目の三池組だったんです。そのことを監督にお話ししたら、「え、あのときいたの?」と言われました(笑)。

――極道役ということで、今回はヒゲのある役でしたが、アンガスを演じるにあたっての演技プランのようなものはありましたか? また、今回の現場でどのようなことを学びましたか?

 極道の組織にいる人間の役なので、最初は無骨なイメージを大事にしようと思っていたんですが、現場で内容がどんどん面白い風に変わっていったので、それに合わせてアンガスのイメージも砕けていきましたね。監督から特に何か言われるわけでもなく、現場で作っていた感じです。高島礼子さんが演じる若頭の下で働く設定も斬新でしたし、あらかじめ物語が決まっていて、セリフがあるなかで、「何をもって自由なのか?」というのを三池監督に学ばせていただいた気がします。自由に見えるような作品作りができることが、三池さんのスゴいところですね。

――ちなみに、この作品で、どんな新しい青柳翔が見られると思いますか。

 特に最後のところで、カッコいいんだけど、どこかダサい。ダサいんだけど、カッコいいみたいな感じが出ていると思います。それが三池監督に引き出されたアンガスの見どころだと思いますので、そこを見てもらいたいですね。最近、ドラマでクールなイメージがついていたから、アンガスはそれを変えるいいきっかけになったと思います。

2015.05.29(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央