ガウディはベタだけどやっぱり凄い!

目の前にある公園に行くと、池に映り込んだ逆さ聖堂も見ることができる。

 バルセロナで楽しみにしていたことのひとつに、アントニ・ガウディの建築がある。やっぱりバルセロナに来たからには、アレを見に行かなくては。そう、「サグラダ・ファミリア聖堂」だ!

 1882年に聖家族(サグラダ・ファミリア)に捧げる聖堂として着工。完成までに300年かかり、22世紀まで完成しないと言われていたものが、大幅に短縮されるというニュースを、最近目にしたばかりだった。

左:3つのファサードのうちのひとつ、生誕のファサード。ガウディ生前に完成した唯一のファザードだ。
右:正面左手に、なんと、サムライの姿が!

 車を降りると、入り口の外からもの凄い人、人、人! これは、ガイドさんとはぐれないようにするだけでたいへんだ。と思っていたら、そこは世界的観光名所、秘密兵器があった。イヤホンと受信機を装着すると、自分たちのガイドさんの声だけが聞こえるという、グループ通信システムが構築されていた。これで安心! 中も凄い人、でも、姿が見えなくてもガイドさんの声が聞こえるので、説明が聴こえてきたら、説明対象の近くに行くとガイドさんを見つけることができるというスムースさ!

左:優美な放物線を描く柱が支える天井。そこから外光が降り注ぐ。
右:祭壇に向かって左手側のステンドグラスはオレンジ。
祭壇に向かって右手側はブルーとグリーンのステンドグラスだ。

 聖堂内に入ると、その規模の大きさと、光の美しさに圧倒された。ステンドグラスを通して、片側からはオレンジの光が、逆側からはブルーとグリーンの光が差し込んでいた。頭上からは自然光も降り注いでいる。歩いているとそれらの光が交叉して異次元の世界へと誘っているかのような錯覚すら覚えた。大勢の見学者のにぎわいが無音に感じてしまうような、そんな空間だ。我に返って建物をよく見ると、滑らかな曲線で造られた様々な造形物が目を奪う。ほんの1時間くらいではとても堪能しきれない、何日も通いたくなる素晴らしい場所だった。

左:グラシア通りに面している「カサ・バトリョ」。
右:2階にある中央サロン。壁と天井がひと続きになって渦を巻いている。

 バルセロナには、ガウディがデザインした建築がほかにもたくさんある。滞在先の「マンダリン オリエンタル バルセロナ」の、私の部屋のベランダから見えた「カサ・バトリョ」もそのひとつ。繊維事業で成功し、ガウディの良き理解者であったというバトリョ家の邸宅だ。

何もない部屋にオーディオガイドを向けると、バトリョ家が暮らしていた当時の様子が画面に。

 ここでは、入り口でオーディオガイドを借りた。スマートフォンのようなモニターが付いていて、壁に書いてある番号をタッチすると説明が始まるという仕組み。これ、部屋によっては、壁にかざすと当時の様子がイラストで映し出されるという優れもの。ひとりで見学しても楽しく廻ることができる。壁や手すりに実際に触れることもできるし、オーディオガイドの説明を聞きながら、ガウディの天才っぷりを肌で感じることができる素晴らしい建築だ。ついつい長居してしまった。

左:建物の中央にある吹き抜けのタイルは、淡いブルーが続いているように見える。
右:上から見ると、吹き抜けのタイルは上に行くに従って濃い色を使っていることがわかる。外光が強く差し込む部分の色を濃くして、均一に見えるようにしたのだという。
奇妙な形のドアノブ。触ってみると、指に吸い付くように精巧にデザインされていることが分かる。

Basílica de la Sagrada Família(サグラダ・ファミリア聖堂)
所在地 Carrer de Mallorca 401, 08013 Barcelona, Spain
電話番号 +34-93-513-2060
URL http://www.sagradafamilia.cat/sf-eng

Casa Batlló(カサ・バトリョ)
所在地 Passeig de Gràcia, 43, 08007 Barcelona, Spain
電話番号 +34-93-216-0306
URL http://www.casabatllo.es/en

2015.05.05(火)
文・撮影=たかせ藍沙