Magnificent View #579
中国国家大劇院(中国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 まるで海に着水した宇宙船のようにも見えるこの建物は、北京にある巨大シアター。高さは約47メートル、地下の深さは約32メートルあり、北京で最も深度の大きい建物でもある。周りを囲んでいるのは人工湖。ハイテク技術を駆使し、冬はマイナス10度にまで下がる北京にあって、一年中、氷が張ることはないという。

 独創的なこの建物を設計したのは、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港などを手がけたフランスの建築家、ポール・アンドリュー。巨大な鉄骨製ドームにもかかわらず、内部に柱を1本も使用しない、独特の工法で建てられている。

 総工費は30億元以上。1958年、当時の首相であった周恩来の指示により建設の一大プロジェクトが発足したものの、資金不足などから頓挫。計画は30年以上もお蔵入りしていたが、1998年に当時の国家主席、江沢民が建設を発表し、2007年に完成した。悲願の巨大シアターは現在、膨大な管理維持費をかけつつも、市民には巨蛋(大きな卵)の愛称で親しまれている。

Column

今日の絶景

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2015.05.02(土)
文=芹澤和美