香港島随一の繁華街でナイトレースを楽しむ

 9月から香港競馬の新シーズンが始まった。

 香港には比較的規模の小さいハッピーバレー競馬場とローカルグレードレースや国際レースも行われる大型のシャティン競馬場の2つの競馬場がある。ハッピーバレーは毎週水曜日の夜競(19:15~22:50)発走で、香港島随一の繁華街・コーズウェイベイに接する街のど真ん中に競馬場がある。シャティンは日曜日の日中(13:00~17:50)発走で、郊外の新界に位置し、山並みが見え野鳥も飛んで来る開放感にあふれた競馬場なので、それぞれ対照的だ。

 国際レースやステップレース、あるいはそれらに出馬する競走馬が目当てならシャティンを訪れるべきだろうが、それらの場合を除けば、まずおすすめしたいのはハッピーバレー競馬場のナイトレース。ぜひ体験してみたい観光名物の1つだ。便利な場所にあり、最終レースの発走時間が22時50分と遅いためにディナー後いきなり思い立っても十分に間に合うおすすめのナイトスポットなのだ。

 競馬場の観客エリアは大きく分けて会員エリアと一般エリアがあり、入り口も別になっている。一部にはドレスコードの厳しいレストランやバーもあり、快適な会員エリアから入場して冷房のきいたレストランでディナービュッフェと観戦、というコースは観光ツアーでおなじみだが、せっかくならたった10HKドルで入場できる一般エリアで、気軽に競馬と地元ビアガーデンの熱気を体験してみるのはいかがだろうか。

 香港唯一の屋外ビアガーデンでもあるため、客は欧米人を中心に賑わっている。女性も多く、中国人馬券オヤジの巣窟を想像して行くとかなりのギャップがあるだろう。彼らはハッピーバレー競馬場を「馬のいるビアガーデン」と思っているかのようだ。

 庶民的な一般エリアでもそこは香港のこと、食べ物も充実していている。洋食なら1F(日本でいう2F)カウンターで名物の巨大串焼き各種やピザがテイクアウトでき、ビール以外のアルコールもここで注文できる。GFの踊り場に位置する屋台ではチャーシュー飯やワンタン麺、フカヒレスープや鶏モモの煮込みなど広東料理が充実していて、地元ならではの味を楽しみたい人におすすめだ。

text:Miyuki Kume