LOVE:金沢のおいしいもの
誰にも頼まれていない勝手に金沢美食案内 Vol.1

金沢|平和軒、吉はし菓子店

 3月14日に北陸新幹線開通。テレビもラジオも雑誌も「金沢特集」だらけなのだが、悲しいことにまったく原稿依頼がない。誰も私がこれまで金沢に行きまくっていることを知らないし、知っているからといって依頼されるというわけでもないので仕方がない。ちなみに、この金沢ブレイクの以前にも、金沢取材を頼まれたことは一度もない……。

 が、しかし! この機会にたくさんの人が金沢に行く予定らしいし、ここをときどきでも読んでくださる方が金沢に行くかもしれないから書いてしまおう。ということで、なけなしのJALマイルを使って勝手に金沢に行ってきた。

 ひとり、金沢にたどり着いたのはしとしとと冷たい雨のふる昼下がり。雪ならまだしも雨はテンションが下がる。ご先祖様のお墓参り(そう、私には金沢にルーツまである!)に行こうと思っていたが、遠くからお寺に向かって手を合わせるにとどまった。

ワンタンメン! 多分900円。なんと美しい柳の麺。

 この日のお昼ごはんは「自然派ラーメン 神楽」に行こうと思っていた。ここは大好物のワンタンメンが非常においしい(店主が腰を痛めて餃子やワンタンなどの“皮もの”はもうやらなくなったらしいが、最近復活したとの噂)。「自然派」をうたうだけあって、無化調(化学調味料ナシ)。無化調主義ではないが、豊かな味わいのスープは絶品である。が、雨だし、遠いし、肩こりがひどくてマッサージに行ってたら時間がないしで、今回は諦めることに。尾山神社のすぐそばにある「平和軒」へ向かった。

 「平和軒」もワンタンメンがおいしい。そして、極細の麺は自家製。これが柳のようにしなやかで、ワンタンとの相性がとてもいい。ワンタンの皮は逆にしっかりタイプで、つるつるしているのに食べごたえがある。スープは醤油味だがとてもあっさりしているので、グビグビと飲み干してしまった。金沢ならではのなると型かまぼこも入っているし、九谷っぽい美しい丼だしで、無理矢理でなく旅行感が高まるワンタンメンだ。

 さて、次は仕事終わりの金沢在住友人の車に乗せてもらい、まずは東山へお菓子のピックアップ。もう20年近く前だが、雑誌「dancyu」史上でいちばん好きな、ステーキと和菓子が二大特集の号で読み、さっそく予約&買いに行って以来大ファンである「吉はし菓子店」の和菓子を首尾よく予約してあるのだ。しかも、ちょっと前から三代目がカジュアルなお菓子の販売も始めたというので楽しみでドキドキが止まらない!

左:気軽に買える「豆半」は「吉はし」の中にありました。どら焼きも予約不要。
右:「吉はし」の上生菓子「ふきのとう」。

 こちらの上生菓子は、季節ごとに趣向を凝らした美しいものなのだが、それだけではない。「お、おいしい!」と味にたまげるお菓子である。だから好きなのだが。今回もお任せで6個詰め合わせてもらったが、春の訪れを告げる、また派手すぎないかわいらしい練り切りばかり。これをホテルやドライブ中にちびちびいただくという幸せ♪ 予約しないと買えないが、ぜひ挑戦して欲しいお菓子である。

 三代目が展開する「豆半」ではどら焼きを購入。あんこがおいしいのは想定していたが、生地がふっかふかで程よく薄く、「和菓子」などら焼きでこれまた秀逸。

 次の目的地は「マルガージェラート」だったのだが。売り切れたのか臨時休業なのかは不明だが、閉まっていた。「マルガージェラート」は素材感のあるジェラートが素晴らしい。果物ごとに味を発揮してくる。金沢らしく日本酒ジェラートなどもあり、これがまたスカッとしていつつも、お酒のコクがある逸品だ。

2015.03.25(水)
文・撮影=北條芽以