試行錯誤を繰り返してついに……

 ココナッツは、南国では一般的な食べ物。でも、フレッシュなココナッツは日本では手に入りません。竹本さんは、輸入物の缶詰やパックのココナッツミルクで試作を重ねました。そして、いきついたのが無添加のココナッツミルク。

「ココナッツタルト」258円と人気の「白ジンジャーティー」430円。

 「無添加のココナッツミルクは気温が下がると固まってしまいます。風味を出すのにも同じ食感にするのにも、本当に苦労しました」。今もタルトの台となる部分は、1個ずつ手で伸ばして型にはめているのだとか。

 そんなココナッツタルト。食べるとサクサクした歯触りで、フランス菓子のタルトとは違う食感。口の中いっぱいに、優しいココナッツの香りが広がります。甘さは上品で控え目。日本人の口によく合います。カフェで、ジンジャーミルクティーと一緒に味わえば、東南アジアを旅した気分になれます。

 「一年中暑いマレーシアと違うので、日本の冬には、オーブントースターなどで、1分程、表面だけを温めて食べるといいと思います」と竹本さん。持ち帰ったココナッツタルトを温めると、ココナッツの香りがふわっと広がって、とてもおいしくなりました。

焼きたての「ココナッツタルト」。

 「アジアのバニラ」と呼ばれるパンダン・リーフは、現地では一般的なジャム「カヤジャム」を作るのに欠かせない素材なのだそうですが、日本では全く馴染みがありません。「パンダン・リーフはココナッツミルクと合わせると、香りが出ます。その葉っぱの感じを出したくて、私はリーフを刻んで生地に混ぜるお菓子を開発しました。現地とは異なる作り方なんです」。

 生地にパンダン・リーフを入れ、ココナッツ風味のクリームを巻いた「パンダンロールケーキ」。ふんわりした食感で、何ともいえない良い香りが広がります。練乳を入れたコーヒーや紅茶を飲みながら味わうのがおすすめ。

左:「パンダンロールケーキ」290円。
右:テイクアウトもOKの「タピオカマンゴーココナッツドリンク」180円、「豆花」280円。

2015.03.08(日)
文・撮影=そおだよおこ