京都を“遊ぶ”
「伝統の遊びの手ほどきを受けられる貴重な機会も」

「聞香」では、動物性のものや植物性のものなど、古来から親しまれている18種類の香りサンプルを試す。

 静かな空気を味わいながら客室でゆっくりと寛ぐのは「星のや 京都」の醍醐味だが、その合間に京都らしい遊びや京の伝統のたしなみなども楽しませてくれる。

 和室パブリックでは、夕方にお茶を一服点ててくれる。宇治の利招園茶舗の香り高いお抹茶とお菓子でほっと一息つくことができる(無料)。

様々なお道具。こちらは、香炉の縁についた灰を落とす羽ぼうき。

 日本伝統文化の一つでお香の香りを楽しむ「聞香」は、なかなかできない体験だ。衣の香りの話が出てくる源氏物語から室町時代に聞香として花開くまでの歴史をうかがって、作法に従って香りを楽しむ。

香炉の灰の中に火のついた灰があり、灰の山に小さな穴を開けると、そこから熱がのぼる、銀葉と呼ばれる雲母の板の上に香木を載せ、立ち上る香りをかぐ。

 山田松香木店の香木を用いて、香炉の灰の整え方、お道具やお作法を教えてもらう。心を静め、時間をかけて純粋な香りを楽しむ何とも優雅なお遊びだ。

息は吐ききってから、香りをかいで――を3回繰り返す。

 「現代を休む日」がコンセプトの星のや。川を上って嵐峡の奥にある非日常の宿は、極上の時間を過ごせる場所だった。自分へのご褒美に、大人だからこそ楽しめる優雅な休暇を楽しんでみたい。

星のや 京都

所在地 京都市西京区嵐山元録山町11-2
電話番号 050-3786-0066(星のや総合予約)
URL http://www.hoshinoyakyoto.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2015.03.01(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵