料理と紅茶をペアリングしたコースを楽しもう

 各々の部屋には専属のバトラーがいて、万事を差配。食事も、毎回シェフと相談して決める。その日の食材を、ゲストの気分と好みに応じて調理してくれるという具合だ。望めば、料理と紅茶をペアリングしたコースを楽しむことも可能。とにかく紅茶。紅茶へのこだわりが、とても強いゲストハウスなのだ。

料理と紅茶をペアリングしたコース。
左:鴨の胸肉に紅茶の葉のドレッシングの前菜&ブルーベリーとザクロのお茶。
右:アールグレイとジャスミンティーのムース&アールグレイ。
左:レモングラスとペパーミントのスープ&煎茶。
右:メインのラムのテンダーロインには、紅茶とグリーンピースをまぶして。合わせるのはモロッカン・ミントティー。
食前のカクテルは右から、ジンとモロッカン・ミントティーのサマーティーカクテル、スイカとシナモンティーのモクテル。

 そして部屋には、鍵がない。なぜなら、ココはあなたのおうち、だから鍵は必要ないということだ。

 朝、バトラーが運んでくれるベッドティーで目覚める。さてその後だ。茶畑サイクリングに興じるもよし、湖畔のハイキングも爽やかで心地いい。宿泊しているバンガローから別のバンガローに遊びに行き、食事をしてくる楽しみも。4つの趣を楽しみながらの滞在は、ここでしか味わえないエンジョイ法だ。

【Teabreak #1】
紅茶文化を築いたMr.フェルナンドの発想

 フェルナンド氏は、グローバルな紅茶ブランド、ディルマの総帥。かつて英国のもとにあった紅茶の流通システムを、スリランカ人の手に奪還した革新的な人物だ。

 また、ワインのシャトーのように、紅茶を農園(エステート)ごとにブランド化し、セイロンティーの地位をさらに高めたことでも知られる。以降、シェフとのコラボレーション、紅茶カクテルの創造など、様々な試みを実践。84歳にしてなおユニークな新しい発想で、紅茶文化を世界に広めることに専念している。

 「紅茶は、淹れるときからが喜びです。カップを温め、お湯を注いで蒸らし……自分と語る時間なのです。いまでも私は自分で紅茶を淹れますよ。紅茶が文化である以上、社会貢献、緑化活動や障害のある子どもたちへの支援は欠かせません。ディルマは世界的な企業になりましたが、大きくなることがすべてではありません。ベストを目指すことが大切。セイロンティーは、世界No.1でなくては意味がないのです」

撮影=小野祐次
構成・文=大沢さつき
コーディネート=橋迫恵(セレンディピティ倶楽部)