ロティ・チャナイ職人の見事な技に見惚れる!

手首を器用に使い、生地を回しながら薄くのばしていく。この様子を現地語で“投げる”という意味の「チャナイ」と表現し、パンという意味の「ロティ」と合わせて「ロティ・チャナイ」となった。

 発酵させた生地を1人前ずつ保存。注文が入ってから生地をのばし、焼き上げるのが専門店のやり方です。この生地をのばす作業、実は非常に難しく、素人だと、途中で生地が破れてしまったり、生地どうしがくっついてしまったり。熟練の技を身につけるためには、タオルや布を使ってひたすら練習するそうです。

クアラルンプール、ブキッビンタンにあるBBプラザ屋上フロア。フードコートでも手作りをする。

 この職人芸を見ているだけでも楽しいのですが、もうひとつ“萌え”ポイントがあります。作り手はインド系マレーシア人のことが多く、彼らは一見、無愛想で強面な人が多いのですが、こちらがカメラを向けて「撮ってもいい?」という合図を送ると、別人のようにニッコリ笑顔。かわいいー! そのギャップに毎回胸がきゅん♪ となり、思わずロティ・チャナイを頼んでしまう。……これってマニアックすぎますか(笑)?

ロティ・チャナイを作りながらもカメラ目線。みんな写真を撮られるのが好き。

 ちなみに、マレーシアにあるロティ・チャナイ店の営業時間は、朝と夜のみのことが多いのでご注意くださいね。聞くところによると、ランチタイムはお客さんが多く、1枚ずつ焼いていたら間に合わないから、だそう。

 それでは、最後にとっておきの写真2枚と動画をおとどけします。写真はカンポン(マレーシアの言葉で「田舎町」)で見つけたロティ・チャナイの小さな工場。近所に住む女性が集まり、丁寧に手作り。1枚ずつパッケージに包んで冷凍し、地元のスーパーで販売していました。こんな自家製ロティ・チャナイが日本でも手に入ったらいいなぁ。

左:棒状にのばした生地をうずまき状に巻いて上からぎゅっとおさえる。すると、円形に層ができ、サクサクの食感がうまれる。
右:ピンクの手桶や赤いプラスチック籠を上手に使っていた。まるで自宅の料理をおすそ分けしているような、そんな温かい商売。

 いかがでしたか。手軽な値段で、いろんな具も楽しめて、おやつでも食事でも満足できるマレーシアの人気ごはん、ロティ・チャナイ。職人が1枚ずつ手作りしている姿も旅の思い出にひと役買うこと間違いなしです。もちっさくっの食感が、あぁ恋しい!

 文中で紹介したロティ・チャナイ店の雰囲気が味わえる動画はこちら。作っている姿もご覧ください。

日本で「ロティ・チャナイ」を食べるならココ。

ペナンレストラン(東京都港区芝) ※要予約
URL https://www.facebook.com/PenangRestaurant

マレーアジアンクイジーン(東京都渋谷区渋谷)
URL http://www.malayasiancuisine.com/

マレーカンポン(東京都中央区八丁堀)
URL http://www.malaykampung.com/

マレーチャン サトゥ(東京都豊島区西池袋)
URL http://www.malaychan-satu.jp/

マレーチャン ドゥア(東京都豊島区東池袋)
URL http://www.malaychan-dua.jp/

ケニーアジア(大阪市中央区千日前)
URL http://kennyasia.com/

マレーシアレストラン ロティマン(兵庫県川西市)
URL https://www.facebook.com/MALAYSIAROTIMAN?sk=timeline&app_data

カフェレストラン ロティ(福岡市早良区)
URL http://r.gnavi.co.jp/6c8z92tb0000/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.02.05(木)
文=古川 音
写真=古川 音、三浦菜穂子