鈴木 淳子さん
家族:夫、長女1歳3カ月

会社名:株式会社賢プロダクション(http://www.kenproduction.co.jp/)
肩書:マネージャー
仕事:声優・俳優のスケジュール管理、アテンド
勤務体制:基本的には16時までの時短勤務。土日は休みだが現場によっては出勤することも。

 声優プロダクションのあるビルの中に、ひとり、またひとりと子連れママたちが入っていく。この日は、賢プロダクションが月に2~3回開催している、0歳~未就学児と保護者対象の絵本の読み聞かせ広場「けんけんぱーく(外部サイト)」の日。読み聞かせのほか手遊び、歌、工作などで遊ぶことも。お昼になれば自由に持参したお弁当を食べてもいい。地域内のみならず、電車を乗り継いで、子連れで参加するファンも増えてきた。

 今回ご紹介する鈴木さんは、この声優プロダクションにお勤めの1児のママ。

 鈴木さんが身を置く芸能界そのものが「女性は結婚したらやめて当たり前。がんばっても妊娠するまで。復職する人は限りなく少ない」というすこぶる前時代的な業界。時間が不規則になりがちという理由もあるだろうが、なかなか両立をして働くママは少ないのが現状だ。

 「産休育休? なんのこと?」「え? 結婚してもやめないの? すごいね」といった昭和な会話が飛び交う業界。そんな中で仕事を続けたいと思っていた鈴木さんは「仕事が向いているというか、好きだったんです」と言い、「女性だからやめなくちゃいけないっておかしいですよね?」とまっすぐに問う。

 当時、会社には育休制度もなければ、ワーママの前例もなかった。しかし、理解がないということは、「知らない」の裏返しでもある。仕事を続けたいと上司に訴えると、会社は労務士に相談をしてくれ、鈴木さんは会社で初めて育休および時短制度を利用するママとなった。

 育休制度をとったものの、復帰後自分に居場所はあるのだろうか。不安も感じた鈴木さんは、会社に貢献できて、なおかつママである自分を生かせるものはないだろうかと考え続けたそうだ。そこで思い立ったのが、昼間空いている声優たちの練習場を使って、読み聞かせの広場ができないかということだった。

 会社に所属する声優ママにも活躍の場が広がるし、地域のママに喜ばれ、会社のイメージもアップするはずだ。そこで、育休から復帰と同時に、会社に「けんけんぱーく」の企画書を持って直談判。

 社長も幼い子を持つ父親であることもあり、「社会貢献になるのなら」と同意をしてくれて、2014年の6月に「けんけんぱーく」をスタートすることができた。

 声優たちのスケジュール管理やアテンドといった通常業務と並行して「けんけんぱーく」の企画運営をスムーズに進めることは、苦労もないわけではな い。けれども常連のママが来てくれたり、クリスマスなどのイベントで盛り上がっているのを見ると、「始めてよかった」と感じずにはいられない。鈴木さんは ママだからこそのアイデアを提案しながら、メンバーとともにその都度充実した内容に練り上げていく。スタッフメンバーも当初は母親ばかりだったが、最近では「僕にもやらせて」と子どもを持つ男性キャストも仲間に入ってきた。

クリスマスイベントの様子。寸劇、ハンドベル演奏、読み聞かせ、工作、合奏と充実の内容に盛り上がる。
子どもがいるから、なにをされたら嬉しいか、必要なサービスは何か、がわかる。インスタントカメラで子どもの写真を撮ってプレゼントするのも鈴木さんのアイデアだ。

 「プロの声優さんの読み聞かせだから迫力満点」「あちこち子どもが歩き回ってもいい自由な雰囲気なのがありがたい」と、ママたちからの評判も上々だ。最近では、イベントへのオファーも増えてきた。

 さて、そんな仕事大好きな鈴木さんに、子育てファミリーにおすすめのアイテムを紹介してもらおう。

2015.01.29(木)
文・撮影=HITOMINA