福田雄一との3作で、さらにひと皮剥ける

――ここ数年、連続的に出演舞台が続くことで、疲労のようなものはありますか?

 自分のなかでリフレッシュ法はどんどん見つけていますので、今のところはないです。温泉、スパ、マッサージ、いい感じの喫茶店巡り、紅茶収集。それから、健康法について興味を持つとか……。それによって、心身ともに健やかになることを目指しています。紅茶は本場のロンドンで飲む機会があり、奥深さを知ってしまったんです。もともとコーヒーは好きなんですが、体を冷やすらしいんですよね。でも、紅茶は温めるという効果がある……。まぁ、これも健康法みたいなものですが、やれることはちゃんとやっていきたいですし、それを考えると疲れを感じている場合ではないと思っています。でも、昨年は声帯出血をしてしまい、多くの方にご迷惑をおかけしてしまったことを反省しています。

――その声帯出血は、どのような状況で起こったのでしょうか。

 まったく初めての経験だったのですが、8月に福田雄一さん演出による「[タイトル・オブ・ショウ]」の公演中盤ぐらいで、ミュージカルなのに『グレムリン』のギズモみたいな唸り声しか出なくなってしまったんです。そんななか、僕を板の上に乗せるために、いろいろな方が支えてくれました。ケアはしっかりしていたのですが、確かに自分の体力を過信していたところがあったのではと反省しています。だからこそ、いつも自分が出来る限りのパフォーマンスをしていかなくてはいけないと思いました。

――ちなみに、福田組には「[タイトル・オブ・ショウ]」のほか、ドラマ「新解釈・日本史」「アオイホノオ」と連続参加されました。特に「アオイホノオ」は14年のベストドラマに挙げる人が多いほどの人気になりましたが、浦井さんはどのように捉えましたか?

 自分もいち視聴者として、観て爆笑していたのですが、とても光栄なことですよね。現場がとてもエネルギーに満ちていましたし、笑いも絶えなかった。そして、楽しいものを作るということに関して、誠実な現場でした。そして、集まった役者さんたちも全員本気でハジけていた気がします。その気持ちが視聴者の方に届いた結果だと思います。僕もとにかく楽しくて、やれるかぎり爆発しようと思ったのですが、福田さんから「もうちょっと抑えて!」と止められました(笑)。結果、映像で観ると、その抑えた演技が面白かったりして、そういう緩急のようなものが役を膨らませることを体感しました。

2015.01.23(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央