後半戦は内臓系! テッチャンに再訪を誓う

 後半は内臓を楽しもうと、ハラミから。こちらのハラミはレバーと同じように角切りゴロゴロだ。結構大きい。ハラミって、繊維や、繊維の間から出る肉汁が魅力だと思うのだけれど、それを意識したかのような角切り。繊維を活かしつつの角切り。また、すでにこの店のたれ類には篤い信頼ができあがっていたので、たれにして正解! ごはん速度がアップします。

繊維を活かす!ハラミ。塩も選べたと思う。ごはん派はたれ好き。

 特筆すべきはテッチャンであった。関西の人ほど「焼き肉っていったらテッチャンやろ~」という思い入れはない(関西人は思い入れがあるという思い込み)けれど、「おおにし行ったらテッチャンや~」くらいの思い入れはできた。

きれいにカットされたテッチャン。生のツヤツヤ感も見せたかったが、写真失念……。

 肉の先生が「サーロインが旨い牛はしっぽの先まで旨い」って言ってたけど、この牛は腸壁まで旨い。ひとり身には広すぎるコンロの上で、火加減を見ながらあっちへこっちへ移動させてじっくり焼き上げた甲斐がある。

 おいしいプリプリ脂を頬張りながら思ったのだが、これももしかして切り方の妙あり? もちろんいい牛で、処理がちゃんとしているのもあるのだろうが、3センチくらいに切って割るというスタイル(推定)は、テッチャンひと切れが平面になりやすく、むらなく焼け、歯切れもよくなっているのでは!? 魚は包丁で決まるっていうけど、焼き肉もそうなんだなぁ。それとも雰囲気からして大阪系なのだとしたら、大阪の焼き肉はこうなの?

 ひとり焼き肉なので、ただただ焼き肉とごはんの間を往復しながら想いを巡らす。取材じゃないし人見知りなのでなにも質問できなかったが、カウンターの奥で黙々と包丁をふるっている店主の背中を見ながら、あれこれ考えたわけだ。肉思索にふけりたければ、ひとり焼き肉歓迎の「おおにし」へ、おひとり様でどうぞ~!

焼肉おおにし
所在地 東京都渋谷区恵比寿西1-7-5 篠崎ビル2F
電話番号 03-6455-1429
[2014年10月訪問]

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2014.12.01(月)
文・撮影=北條芽以