リオハ・ワインのおひざ元でデザインホテルに泊まる

少しずつ傾きの異なるブロックは、まるで地面から生え出したようにも見える。

 スペインを代表するワイン産地であるリオハ地方。名の知られたワイナリーが多く点在し、それを目当てに訪れるワイン愛好家も年々増加している。正式に「リオハ・ワイン」を名乗れるのは、当然ながらそのほとんどがリオハ産であるが、実は、隣接するバスク地方の一部も含まれている。今回は、その地域、リオハ・アラベサ(=バスク地方アラバ県リオハ)と呼ばれるエリアにある個性的なホテル「ホテル・ビウラ(Hotel Viura)」をご紹介したい。この地域では、マルケス・デ・リスカル・ホテルがフランク・ゲーリーによる設計で有名だが、このビウラも知る人ぞ知るデザインホテルなのだ。

大きなガラス窓に、周辺の景色が写り込む。

 リオハの中心都市、ログローニョから車で20~30分、バスク地方との境界線を越えてすぐのビヤブエナ・デ・アラバ村にそのホテルはある。村の人口は約300人ほど、昔ながらのたたずまいを今に残すこの小村にあって、まるでいくつものブロックが地面からにょきにょきと生えてきたようなホテルの姿はかなり衝撃的だ。隣接する古い教会が、ひときわその前衛的なデザインとのコントラストを引き立てている。それでいて、妙にしっくり周辺の風景に溶け込んでいるようにも見えるのは、大きくあしらった各部屋の窓ガラスが鏡のように周囲の景色を写し出しているせいだろうか。

好対照をなす隣接の教会は、16~18世紀に建てられたもの。

文=坪田みゆき