伊藤涼初の著書『作詞力』の内容とは?

山口  ところで、伊藤さんは、本を出されるそうですね。初の著作じゃないですか! おめでとうございます!!

伊藤 ありがとうございます。タイトルは『作詞力』(外部サイト)です。今回の「愛をからだに吹き込んで」のように、アーティスト本人ではない人が作詞をする場合があるんですけど。このような作詞家をテーマにした本ですね。

山口 サブタイトルの「ウケル・イケテル・カシカケル」が良い感じですね。伊藤涼らしい(笑)。作詞のハウツー本は、既にたくさんあると思うのですが、今、本を書こうと思った動機は何ですか?

伊藤 もっとリアリティがあって、もっと突っ込んだ内容で書いてみたかったということですね。僕のブログを読んだ出版社の社長が興味を持って、「作詞エッセイ」を書いてみないかと提案してくれました。

山口 素敵な話ですね。「作詞エッセイ」ということは、作詞家、音楽プロデューサー、作詞アナリスト、3つの要素の伊藤涼が詰まっているということですか?

伊藤 そうとも言える(笑)。まぁ言っても、きっかけは山口さんの本に参加したことですよ。『プロ直伝! 職業作家への道』(外部サイト)で、コンペのことを書かせてもらったじゃないですか? あの本は売れていますし、それで興味を持ったリットーミュージックが声を掛けてくれたんです。

山口 お役に立てて何よりです(笑)。リットーミュージックは音楽系の出版社として素晴らしい会社ですよ。『人を振り向かせるプロデュースの力』(外部リンク)の玉井健二さんや『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』(外部リンク)の高野修平さんなど、僕の本がきっかけで、あそこで本を出す人が増えていて、すごく嬉しいです。僕のプロデュースのモットーは「場つくり」なので、こういう現象が一番嬉しいですね。

伊藤 僕もそんなきっかけで「作詞エッセイ」を出すことになったんで、作詞に興味ある人、作詞家難民、あしたプロになりたい人は是非、って感じですが……まぁ、気が向いたらどーぞ(笑)。

山口 プロ作曲家育成の「山口ゼミ」で作曲家に対する鋭い指摘は聞いていますが、作詞エッセイではどんな面を見せてもらえるのか?楽しみにしています。

この曲から、アラサー女性のレストランでのデート場面を妄想

山口 そんな乗っている伊藤涼の妄想分析も聞かせてください。

伊藤 あの人に久しぶりに食事に誘われた。何度か連れてきてもらったことのあるフレンチレストランで、何度か飲んだことのあるワイン。たしか2度目に来た時、私がこのワインを気に入ってエチケット(ラベル)をもらって帰ったことを思い出した。

 前菜が運ばれてきたところであの人の携帯が鳴る。表情や言葉遣いからは分からなかったけど、仕事の電話だろう。他の女からなら出るはずがない……。そんなことを考える自分に、少しあきれる。嫉妬などという安い感情を抱いたことは一度もないのに。それにしても、前菜に手をつけないまま、テーブルに独り取り残される女はそんなに“可哀想”だろうか? まわりの目線が自分に注がれ、気を遣わせているようだ。

 前菜を食べながら、携帯をとりだしメールチェックやらスケジュールやら自分の仕事をする。本当は今やっているプロジェクトが大詰めで、かなり忙しいさなかココにいるのに……。男にちょっと取り残された程度のことで“可哀想”とか思われたくない。ココには美味しいワインも料理もあるし、静かに仕事が出来る環境もある。きっとあの人はテーブルに帰ってきても「ゴメン」とも言わないだろう。ふてくされない私に対しても、冷めた料理に対しても……それでいいのだ。そこが好きになったんだから。

山口 大人の女ですね。アラサー女性ターゲットの小説ですか?

伊藤 ストーリーというよりは、切り取られた場面、絵ですね。Superflyは「愛をこめて花束を」以来のいしわたり淳治の起用といい、カップリング2曲を含むトリプルタイアップといい、“ここでヒット!”を狙ってますね。

山口 期待しましょう!

Superfly「愛をからだに吹き込んで」
ワーナーミュージック・ジャパン 2014年11月19日発売
初回生産限定盤CD+DVD 1,800円(税抜)、通常盤CD 1,200円(税抜)
■テレビ朝日系ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」主題歌となった表題曲の他、FMラジオ番組「JFL presents FOR THE NEXT」テーマソングの「You You」、テレビ東京系ドキュメンタリー「Crossroad」エンディングテーマ「クローゼット」を収録。
■「愛をからだに吹き込んで」作詞/いしわたり淳治 作曲/Tomoya.S、越智志帆 編曲/蔦谷好位置
■オフィシャルサイトURL http://www.superfly-web.com/

【動画サイト】
「愛をからだに吹き込んで」
URL https://www.youtube.com/watch?v=x0sCybAIFhE

2014.11.15(土)
文=山口哲一、伊藤涼