海の神が持つ「幸福の箱」を載せた船は……

 そんな美しい島だから通ってしまうのも納得なのですが、実はそれだけではなさそうなのです……。マナ島に言い伝えられている魔法に、どうやらかかってしまっているのかも。

 それはマナ島の近くの海底に「幸福の箱」が眠っているという伝説です。

青空に真っ白なチャペルがパキッと映えます。日本人ウエディングプランナーも常駐。

 海の神が「幸福の箱」を積んで航海中に嵐にあいました。船を沈没させまいと船員たちは積み荷を海中へとことごとく投げ捨てたのですが、その中に例の箱が……。無事に嵐をやり過ごしたものの、幸福の箱がなくなったと気付いた海の神は憤怒します。そこで二人の勇者が探しに戻り、マナ島の近くで発見したところに守り神の海ヘビが登場。「一度マナ島へ持ち込まれたものは返せない」と、二人の勇者に伝え、さらに幸福の箱を守るために島に残ることを提案。そして勇者たちはマナ島に残ることを決めたのだそうです。

 この伝説から、マナ島へ一度訪れたら、心はここに残り、また必ず戻ってくる、とされています。そして今も幸福の箱は海の中で眠っているのだそう。ちなみに、島の東部には限られた人しか立ち入ることが許されない聖域があり、そこに伝説の勇者が築いた石塚もあるとか……。

 また、幸福の箱の効力か、島内にあるブーゲンビリアに彩られた真っ白なウエディングチャペルはカップルに人気です。挙式後にカップルの名前を刻むプレートも、この島へ戻るきっかけとなることでしょう。

これまで10匹の海ガメを保護し、そのうち5匹をゲストと共に海へリリース。

 そして魔法かどうかはわかりませんが、訪れるたびにいつもニュースが待っているマナ島。

 ママヌザ環境協会(MES)の一員として、3年前から環境保護のプロジェクトを実施しています。植樹を行うサンゴ再生プロジェクトや海ガメの保護など、ゲストもお手伝いができたり、海についてのレクチャーで環境について興味をもつきっかけにも。

フィジアンのこの笑顔を見ると、また戻ってきたくなっちゃうのです。

 かつては日本から直行便でビューンとひとっ飛びだったフィジー。今はソウルや香港などで乗り継がなくてはならず、やや足が遠のき気味……。ぜひとも幸福の箱の力で、ダイレクトフライトが戻ってきてほしいものですネ。

マナ島
●アクセス フィジーのナンディ国際空港から軽飛行機もしくはチャーターヘリで約12分。または、空港から車で約20分移動後、デナラウマリーナから高速艇で約1時間30分
●おすすめステイ先 マナアイランドリゾート&スパ
URL http://www.manaisland.com/

【写真提供】
南太平洋旅行専門店トーホートラベル

URL http://www.fijimagicfiji.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2014.11.01(土)
文・撮影=古関千恵子