秋冬には約100種類ものチーズが揃う!

『Fromagerie Miu』の特徴は、チーズを大きな塊のまま保存していること。ケースの中には、大きなチーズがいくつも並んでいます。お客さんは好みの味や合わせるワインを伝えて、何種類も試食しながら、チーズを選べるのです。

ショーケースにはチーズがずらり。

「秋冬は約100種類のチーズを置いています。フランスやイタリア、スペイン、スイスなどヨーロッパのナチュラルチーズで、農家産も色々。神戸や近郊で作られているチーズもあります。食べごろを見極めて、お好みに合わせておすすめしますよ」と神澤さん。

 店内には、カウンター席やテーブル席があって、ショッピングや博物館での芸術鑑賞の合間にひと休みするのにぴったり。ワインやソフトドリンクを飲みながら、チーズを1種類から、ちょっとつまむことができます。チーズを使ったサンドイッチやキッシュがある時もあって、神戸らしい小粋なおとなのスペースです。

左:ほっとする雰囲気。店内でいただけるグラスワインは赤白各 500円、泡550円。
右:イートインの「チーズプレート」5種盛り 1,200円~。(1種盛り400円~、3種盛り800円~)。パンの左下から時計周りで、チーズの王様「ブリ・ド・モー」、フランスで最も食べられている「コンテ」の中でもこちらはBIO(ビオ)、回りを白ワインのシャブリで洗いながら熟成させた「アフィデリス」、スペイン産の「マンチェゴ」、木の実の色素を付けて熟成させた「シュロップシャーブルー」。
手前がブルーチーズ、奥がタレッジョ使用。

 そんなナチュラルチーズ専門店のとっておきのチーズケーキをご紹介しましょう。

 ベースはイタリア産のマスカルポーネチーズ。それに青カビのブルーチーズを加えたものと、イタリア産のウォッシュタイプのタレッジョをプラスしたものの2種類があります。

「ブルーチーズのは華やかな香りの赤ワインに、タレッジョのものは、甘口の白ワインが合います」とソムリエの資格も持つ神澤さんからのアドバイス。

 マスカルポーネチーズをたっぷり贅沢に使えるのは、チーズ専門店だからこそ。1台を持つと、ずっしりと重い。「小麦粉、卵、生クリームなども使いますが、重さのほとんどはチーズかも。マスカルポーネの箱に入れてお渡ししています」。

 チーズ感が溢れるケーキですが、ブルーチーズ入りも、食べるとチーズ特有の臭みがありません。すっと口の中で溶けて消えて、後口はさっぱり。

 ブルーチーズは梅酒に1週間以上漬け込んでいるのだそう。さわやかな酸味とフルーティさでクセになる味わいです。

 タレッジョ入りは、さらにまろやか。チーズ嫌いの方でも食べられそう。

「ブルーチーズは旨味の塊。コクが違うんです。旨味成分を入れる必要がありません。梅酒とブルーチーズの相性もとてもいいんですよ。日本人にはとても親しみやすい味でしょう」。

 小笠原さんが、何カ月もかかって完成させたレシピなのだそうです。

ワイン好きの方に、テイクアウトして手みやげにしてもよろこばれます。

「もっともっとチーズのおいしさを知ってほしい。チーズケーキから、ナチュラルチーズに興味を持ってもらえたらいいですね」。

 チーズケーキは3日前までの完全予約制。ホールのみでカット販売はありません。わざわざ予約してでも食べたい、チーズ屋さんならではのチーズケーキは、まさにおとなのおやつです。

『Fromagerie Miu』
所在地 兵庫県神戸市中央区京町76-2 明海三宮第2ビル1F
電話番号 078-321-5501
URL http://www2.ocn.ne.jp/~f-miu/

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

 

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2014.10.12(日)
文・撮影=そおだよおこ