豊かな穀倉地帯が広がるパダノ平原は、米どころ。ここでは、どこよりおいしいリゾットが食べられる。“幻の生ハム”といわれるクラテッロは、ポー川の霧なくしては造れないし、パルミジャーノ・レッジャーノ、バルサミコ酢……このエリアは、名産品に事欠かない。

 これだけの食材の整う場所だから、もちろんシェフも腕を振るう。3軒の3ツ星リストランテはもちろん、トラットリアのテーブルに上る郷土料理もたいそうな美味。ここではもう、食い倒れるしかありません。

» 第1回 パルマ/美食の第一歩はリーズナブルな評判店から
» 第3回 マントヴァ/この街に来たらカエルを食べなくっちゃ
» 第4回 ラヴェンナ/魚介がうまい! アンチョビ追求店

ラファエロ・デグステリア
Raffaello degusteria

海と山の恩恵を受けるマルケ州の名産は?

店主のひとり、ヴァレンティノは食材のことなら何でもござれの豊富な商品知識。

 東にアドリア海、西にアペニン山脈を抱くマルケ州には、特色のある、バラエティに富んだ食材がある。新鮮で質の高いスローフード天国だ。トリュフやオリーブオイル、もちろん名醸ワインも。そしてルネサンスの時代に遡る伝統菓子も忘れてはいけない。

 ウルビーノ州のラファエロ生家のすぐ近く、ヴァレンティノとアルベルトのはじめた食料品店は地元のセレブも愛用。最高品質のナチュラルな製品にこだわって品揃えしている。近くにバールもオープンさせたので、ツーリストもこの店の物が食べられる。食材のことなら何でも答えてくれるプロフェッショナルな店だ。

ルネサンス時代の 焼き菓子を
ウルビーノ公の素晴らしい宮廷に思いを馳せて再現された、焼き菓子。
〈左〉16世紀の料理本に登場するこの菓子は、饗宴の席でデザートワインなどと一緒に食べられた。サクサクッとした食感のビスコッティ6.50ユーロ
〈右〉ルネサンス時代に流行したモスタッチョーリという、香ばしいビスコッティ。少しスパイシーな味。6.50ユーロ

おすすめワイン2選
〈左〉ドラゴンマークの“ヴァルトゥーリオ”は赤ワインで、しっかりとしたサンジョヴェーゼ100%。モンテフェルトロ公時代のワインを研究している新しい造り手で、『ガンベロ・ロッソ』から高い評価を受けている。19.50ユーロ
〈右〉海近くのワイナリーの赤ワイン“ガリレオ”は、サンジョヴェーゼを主体にしたもの。赤身の肉料理やジビエ料理によく合う。12ユーロ

撮影=小野祐次
文=大沢さつき
コーディネート=大平美智子