建物の外観。白く塗られたコンクリートの壁と大きめの窓がスタイリッシュだ。

 東京でも人気の街・三軒茶屋に、現代建築とアートが融合した個性的な賃貸集合住宅が誕生した。

 田園都市線の三軒茶屋駅から徒歩5分ほどの住宅地にある「Sugar」。その名前のように角砂糖を思わせる白い3つの棟に分かれたコンパクトな集合住宅だ。敷地の一角には大きな桜の樹があり、3つの棟のあいだの路地が桜のある庭へと通じている。外の通りから路地に目をやると、その奥にどっしりとした桜の幹が見える。白い建物と巨樹の対比が印象的な風景を作り出している。

1階の部屋。大きな窓からは桜の樹がよく見える。杉本作品を日常的に楽しめる贅沢な空間。

 住戸は8室でいずれもワンルーム。木床に白い壁を基調とした室内空間はアートギャラリーのようなミニマルな感覚で統一されている。

「すべての部屋は角に窓を配置して、周辺の特徴的な風景をひとつひとつ切り取っています。同じ住戸ユニットのようでありながら、どれひとつとして同じものがないのも特徴のひとつです」と設計を担当した建築家の千葉学さん。

杉本博司デザインの庭。竹帚を使った垣根は杉本のオリジナルで、今年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で発表したガラスの茶室でも同様の帚垣根が用いられた。

 この集合住宅のもうひとつの魅力は、共用部に現代アートの作品が設置されていることだ。樹齢70年を超える桜を囲む小さな庭は、現代美術家の杉本博司さんの作品。作庭に当たっては、西行の有名な「願はくは花のしたにて春死なん そのきさらぎの望月のころ」の和歌に触発されたという。

 桜の根元を囲む根府川石の石積み、竹帚を素材にした帚垣根など、伝統建築や古美術、造園にも造詣の深い杉本ならではのディテールが味わい深い。神域を思わせる凛とした庭はモダニズム建築の美意識を継承した建物とも調和している。

 このほかにも英国のコンセプチュアル・アーティスト、ケリス・ウィン・エバンスの作品が設置されている。住みながら上質の現代アートを楽しむことができる、新しいかたちの贅沢さを感じさせる集合住宅だ。 

高さが少しずつ異なる3つの棟が桜の樹を囲むように並ぶ。

Sugar
所在地 東京都世田谷区太子堂2丁目

問い合わせ先 タカギプランニングオフィス
電話番号 03-3560-1861
URL http://www.t-p-o.com/

2014.09.22(月)
撮影=今井智己