俳優として、監督として、憧れの人は竹中直人さん

――また、女性たちに囲まれる設定から、吾朗は男の夢のような役どころでもありますが、それに関しては?

 谷桃子さんからは勉強を教えてもらう妄想シーンがあるんですが、他人のというか、グラビア雑誌で見ていた女性の胸をそんな近距離で見ることなんて、まずないじゃないですか! そんな状況はおいしいというか、自分がどこにいるのか分からなくて、一瞬死んじゃったのかと思いました(笑)。それに、初めてグラビアで見たとき衝撃的だった川村ゆきえさんが僕のもう一人のお姉ちゃんの役なんですが、2人だけで演技していると、僕が独占してるような気になって、そのときは生きてて良かったなと(笑)。それに今回の映画で、プライベートよりも作品でキスをした女性の人数の方が多くなってしまったんです。そういう意味でも僕にとって記念すべき作品になりました……。

――今後、どんな俳優になりたいか? どんな監督になりたいのか? そして、いつまで学ランを着るのでしょうか?

 学ランは着続けますよ。だって、学生役をオファーしてくれたのに、僕が断ったらスゴくイヤな奴じゃないですか(笑)。制服着ることによって、高校生のときの気持ちを思い出せるし、若い女優さんと話しする機会もできますからね……。あれ、ちょっと待ってくださいよ。でも、監督した方が話せそうだな(笑)。最近は「謎解きLIVE」というNHKの番組内でのドラマパートを演出させていただいたりもしているんですが、個人的に理想というのか、憧れなのは竹中直人さんなんです。『連弾』や『サヨナラCOLOR』など、「俺は監督だ」という押しつけがましさがない感じも好きなんです。でも、自分で自分をこうしようと決めつけたくはないです。とにかく現場が好きなんです。

前野朋哉 (まえの ともや)
1986年1月14日生まれ。岡山県出身。大阪芸術大学在学中に、『剥き出しにっぽん』に照明助手・俳優として参加。監督として国内外で高い評価を受けるなか、『桐島、部活やめるってよ』以来、日本映画界に欠かせないバイプレイヤーに。今後の出演作に『日々ロック』(2014年11月22日公開)、『娚の一生』(15年2月公開予定)などがある。

『鬼灯さん家のアネキ』
母親が急逝し、登山家の義理の父親(モト冬樹)が留守のため、血の繋がらない姉・ハル(谷桃子)と一つ屋根の下で暮らすことになった高校生・吾朗(前野朋哉)。セクシーでキュートなハルが仕掛けるエッチな悪ふざけに、彼は悶々とした日々を送るのだが……。
(C)2014「鬼灯さん家のアネキ」製作委員会
2014年9月6日(土)から新宿武蔵野館ほか全国順次公開
http://hozuki-movie.jp/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

 

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2014.09.05(金)
文=くれい響
写真=深野未季