推薦人:鷺珠江さん(河井寛次郎記念館)
「稲川菓舗」のむぎ餅

1個から購入可能です。「むぎ餅」1個140円(税込価格)/稲川菓舗

 清水焼は約1200年の歴史を持ちますが、六古窯には入っていません。昔、京都市内にはいくつも焼き物の産地があり、それらを総称して京焼と呼んでいましたが、清水焼以外がすたれてしまい、現在は清水焼がほぼ京焼です。また昭和46年の大気汚染防止条例制定のため、薪を使って焼く「登り窯」が実質使えなくなり、宇治の炭山へ移られた作家たちの作品も清水焼です。京都には清水焼に適した土や石がないことにもかかわらず、現代までトップレベルのまま続いてきたのは、茶人や宮家・公家による高度で多種多様な要求に応えてきたからです。古来、有名作家が途絶えることなく、その中で大正から昭和にかけて活躍した陶芸作家に、河井寛次郎がいます。

 ただ、河井寛次郎はこのエリアを拠点としただけで、作風は清水焼ではない独自の世界を繰り広げました。作品については、たやすく語れないので割愛しますが、庶民から皇室に至るまで幅広いファンがおられます。寛次郎自身が設計した工房兼住居が「河井寛次郎記念館」として開放されています。

「河井寛次郎記念館」(外部サイト)の鷺珠江さん。稲川菓舗のむぎ餅の他には、亀屋良永の御池煎餅(筒の方)、末富の両判、京つけもの十字屋のしそ紫、田丸弥の白川路(胡麻煎餅)、七味家本舗の七味・祇園むら田「京のごまや」の白いりごま等、大寿(うどん屋)の稲荷ずしと漬物、マールブランシュの茶の菓などもお好みだとか。

 そこで、記念館の学芸員であり、寛次郎と一緒に暮らしてきた、孫の鷺(さぎ)珠江さんに、寛次郎ゆかりのお土産を紹介していただきました。

 寛次郎は島根県安来市出身ですが、安来市ではどの家でも普段の生活の中で抹茶を点てるそうです。小学生なども当たり前のように抹茶を点て、形式ばらない楽しいお茶の習慣があるといいます。寛次郎は京都の暮らしでもその習慣を続けたので、千客万来の御客だけでなく、家庭内でも一日何服も抹茶の時間があったそうです。

 ご推薦はその時の、普段使いの茶菓子、「稲川菓舗」のむぎ餅です。稲川菓舗のお店は記念館からほど近い渋谷街道沿いにあります。「むぎ餅」は北海道十勝小豆を、小麦粉と餅を合わせた生地で包んで蒸した素朴なお菓子で、この皮の食感を寛次郎は好んだそうです。

 鷺さんは寛次郎の茶を再現するべく、各地で行われる寛次郎展で、「寛次郎の器で楽しむお茶の会」をお手持ちの器でよく催されます。コンセプトは“10人ぐらいで、楽しく、気楽に”です。

稲川菓舗
所在地 京都市東山区渋谷通東大路東入常盤町474-3
電話番号 075-561-4719
営業時間 9:00~19:00(時季により変動あり)
定休日 不定休

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。

2014.09.01(月)
文・撮影=小林禎弘