客室「松」は59.8平方メートル、1泊58,000円~。

 東京・お茶の水に、全室スイートの小規模高級ホテルが8月にオープンした。たった9室というプライベートホテルのような位置づけで、全スタッフが宿泊者の要望に応じる「コンセルジュ」サービスを提供する。

 ホテルの前身は、創業116年の旅館「旅館龍名館本店」(2014年3月まで営業)。作家の幸田露伴の次女である幸田文が小説「流れる」の中で、帝国ホテルと並び在京の名店に挙げたほか、伊藤深水や川村曼舟ら画家をはじめ多くの文化人に愛されてきた。

全客室にある信楽焼きの陶器のお風呂

 その歴史ある日本旅館ならではのきめ細やかなもてなしを受け継ぎながら、これまでにない新しい都市型小規模ホテルとして、このたびリニューアルオープンとなった。全部屋に畳のスペースを確保し、信楽焼きの陶器の浴槽や障子、京都の高級ベッドマットレスなども取り入れ、“和”の要素を巧みにホテル文化に取り入れている。内装もベージュなど茶系に濃紺やモスグリーン、朱色と落ち着いた色合いでまとまっていて、高級感のある“モダン・シック”な雰囲気だ。

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