#8 ケアワカプ・ビーチ

日中の太陽で温まった夕方の海は一日の疲れを流すのに最適。

 カホオラヴェ島を目の前に、ケアワカプ・ビーチで一日を過ごすと、誰もが海の神カナロアの存在を感じることになる。カナロアは、ハワイの四大神カーネ、ロノ、クーに続く神。カーネ、ロノ、クーに比べると知られざる存在だが、マウイ島ではカナロアの島とされるカホオラヴェ島が近いせいか、身近である。

 カナロアは海、航海、癒しの神。海の生き物に姿を変えて現れることが多く、タコやクジラなどはカナロアの現身。当然、海に行くと彼のことを考えてしまう。特に冬、ケアワカプ・ビーチに寝そべって、カホオラヴェ島と海を眺めていると、クジラの群れが島の前を悠々と横切っていくのが見える。日が傾きはじめた、微妙な色合いの空と海のなか、クジラたちが、ブリーチングと呼ばれる大きなジャンプをしたり、胸びれや尾を水面に叩き付けてみたり、ビーチまで音が聞こえそうな潮吹きなどをしたりする様子は、世にも美しい影絵の世界だ。

 マウイ島、カホオラヴェ島、ラナイ島、モロカイ島は実はマウイヌイと呼ばれる大きな一つの島だったが、地盤の変化があり海の水が入りこみ、四つの島に分かれた。そのため、島間の海の深さは約80~100メートルと浅い。クジラたちにとって、このカナロアの海は安全に出産し、赤ちゃんを育てる場所となっている。また、春になりアラスカへ戻るクジラたちがお腹に赤ちゃんを宿していることが多いため、生殖の場となっていることも確かだ。

 季節が巡ると、まるで私たちに「生」の素晴らしさを再確認させるためにやってくるようなクジラたちに感謝しながら、ケアワカプ・ビーチでカホオラヴェ島とクジラたちを見つめて過ごす一日は紛れもなく癒しの時間だ。


【Access & Advice】
ノース・キヘイ・ロードの南端。飲み物と食べ物は持参しよう。ビーチに近いパーキングには限りがあるが、ノース・キヘイ・ロードの終点なので、道に駐車も可能。いくつもあるキヘイのビーチ・パークのなかでも一番落ち着ける。ワイレアに近いので、ショップス・アット・ワイレアやワイレア・ゲートウェイ・センターなどで買い物や食事も楽しめる。

神宮寺愛(じんぐうじ あい)
ライター・コーディネーター・翻訳(英語・ハワイ語)・フラダンサー。出版社勤務後、フリーランスになり、日本文化とハワイ文化に親しむべく、学びの日々を続けてマウイ島在住14年目。13歳の娘とイタリア系アメリカ人のパートナーとの三人暮らし。雑誌への寄稿多数、著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社)など。

2014.08.25(月)
文・撮影=神宮寺愛