この夏、必見! 花火写真家が案内する全国花火大会ベスト20

この夏、必見! 花火写真家が案内する全国花火大会ベスト20

花火は丸でなくてよい 創造花火の原点 
大曲の花火で盛大に夏を見送る

全国花火競技大会 大曲の花火(秋田県)

煙柳 (けむりやなぎ):この花火は、「昼花火の部」の競技で打ち上げられた「煙柳」です。「柳」は、柳の枝のように 枝垂れる花火で、夜には光彩で「柳」の形の花火になりますが、「昼花火」は色煙で形を表現することから「煙柳」といいます。黒、黄、紫色などの色煙を使っ て枝を表現した玉名は「彩煙柳(さいえんやなぎ)」といいます。この「昼花火の競技」は、「大曲の花火」でしか鑑賞できないものです。

 「日本三大競技花火大会」のひとつ、大曲の花火は毎年8月第4土曜日に行なわれる夏の花火のフィナーレのような大会です(伊勢神宮奉納全国花火大会は7月、土浦全国花火競技大会は10月)。

 大仙市の大曲は、昔から花火好きな土地として知られてきました。江戸時代後期の旅行家・民俗学者の菅江真澄(1754~1829)が著した『月の出羽路』に、出羽山を背景に、雄物川の川原での「のろし」の挿絵が描かれています。現在ではこの一帯で、「大曲の花火」が開催されているのですから興味ぶかいです。

 「大曲の花火」は、1910(明治43)年に開かれた「奥羽六県煙火共進会」がそのルーツで、地元、諏訪神社の祭典に花火を奉納したのが原点です。

 1964(昭和39)年には、ここ「大曲の花火」で「創造花火」という全く新しいジャンルが佐藤勲氏によって創案されました。その定義の一つに「花火は円くなくてもよい」とあることから「赤トンボ」や「アジサイとカタツムリ」、「真夏のメリークリスマス」などの型物の花火が生まれました。現在ではマンガのキャラクターなど多くの形の花火が全国で見られるようになっています。

 この大会は、競技とは別に当時としては最先端で、花火に音楽を付けたワイドスターマインで「大会提供花火」を開催し、ペンライトの光を使って対岸の花火師さんにエールを送る演出も佐藤勲氏の二男佐藤紘二氏の提案でした。

 会場のアナウンスの発声や独特の節回しを付けて玉名を紹介するなど、全てにこだわりのある花火大会といえます。

 内閣総理大臣賞が受賞できるのも、「大曲の花火」と茨城県土浦市「土浦全国花火競技大会」のみです。2013年の第87回内閣総理大臣賞は、秋田県の小松煙火工業が受賞しました。

 雄物川沿いの幅500メートルにわたって一斉に打ち上げられる趣向をこらした花火の競演は、すべての視界を覆って壮大な絵を見上げているかのようです。

大会概要
【大会名称】 全国花火競技大会 大曲の花火
【開催場所】 秋田県大仙市大曲地域雄物川河川緑地公園内
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 JR秋田新幹線、奥羽本線大曲駅徒歩約30分
【URL】 http://www.oomagari-hanabi.com/
【問い合わせ】 大曲商工会議所
      TEL:0187-62-1262

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.19(土)

文・撮影=泉谷玄作

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