ロマンチック&エキゾチック イルカの島「天草」のあふれる魅力

ロマンチック&エキゾチック イルカの島「天草」のあふれる魅力

“陶磁器のふるさと”天草の個性的窯元と
平成に甦った南蛮渡来の天草更紗

 蒼い海と美しいビーチあり、南蛮文化に影響された独特のカルチャーあり、キリシタンの歴史が育んだロマンティックな風景あり。さらに、山海のグルメに恵まれ、ラグジュアリーなホテルから庶民派の温泉まで揃う天草は、旅好きには魅力満載の島。長崎の教会群とともにユネスコ世界遺産への登録を目指す天草の魅力を7回に渡ってお伝えします。

» 第1回 人なつっこいイルカに会える確率98%キュートなイルカ飛行機に乗って天草へ!
» 第2回 17世紀、天草の宣教師も食べていた? オリーブと天然塩作りの理想郷
» 第4回 東シナ海に沈む太陽が感動的?天草夕陽八景と絶景温泉ベスト5
» 第5回 静かな漁港に望むゴシック様式の天主堂 キリシタンの歴史が息づく祈りの島
» 第6回 海からの風に南蛮文化の香り漂う天草らしさを満喫できる個性派ホテル
» 第7回 日本ではじめて、いちじくが到来した島 南蛮の香り漂う天草のスイーツとグルメ

伝統と自由が融合する天草陶磁器

 日本を代表する焼き物として知られる有田焼や京焼・清水焼と天草は切っても切れない縁がある。それが天草の西海岸で採掘される天草陶石(陶磁器の原料)。焼き上がりの白さに濁りがなく、強度にも優れているのに、加工がしやすい。江戸時代の才人、平賀源内も「天下無双の上品」と絶賛したほどのクオリティー。天草は、陶石の埋蔵量と品質で日本一を誇る場所であるが、それに留まらず日本有数の焼き物の産地でもある。天草陶石を使った天草陶磁器は、国指定の伝統工芸品にもなっている。

天草陶磁器の始まりは古く、豊臣秀吉の朝鮮出兵時にまでさかのぼる。「丸尾焼」は、天草の中でも古い歴史を持つ窯元。

  有田焼に唐津焼、伊万里焼……と、九州各地に焼き物の歴史があるが、天草がユニークなのは、島民が自分たちの生活のために、陶磁器を作ってきたということ。その背景には、天領だった天草は、藩直営の御用窯のように「お殿様の御用達」を作る機会がなかったこと、海を隔てる島ゆえに陶器を自給する必要があったことなどの理由がある。

 産業化しなかったからこそ、スタイルは自由。陶器もあれば磁器もあり、絵付けもありのバリエーションが生まれた。天草陶磁器の特徴をしいていえば、「なんでもありの自由な技法」。その気質は、時代が変わっても、今の陶芸家におおらかに受け継がれ、天草各地に点在する窯元巡りは、まるで違う産地を訪ねているような楽しさがある。個性が異なる3つの窯元を訪ねた。

天草創磁 久窯

「伊曽保物語」の一節が描かれた一枚。

 天草産にこだわるのは、「天草創磁 久窯(ひさしがま)」。江浦久志さんが、天草陶石のそれぞれのランク(特等から3等まで)が持つ特徴を生かして作品を作る。ひとくちに天草陶石といっても、魅力はさまざま。特等は光を放つような白磁があるし、ランク下のものは青みがかったグレーの風合いが魅力なのだそう。

 石や釉薬などの原料だけにとどまらず、作品のモチーフに天草の歴史が登場することもある。そのひとつが、「天草本」の「伊曽保物語(イソップ物語)」を再現したお皿。「天草本」とは、16世紀に天正遣欧少年使節がポルトガルから持ち帰った世界最新の活版印刷機で印刷され、天草で出版された本のこと。400年以上も前の文化が表現された一枚は、難しい陶磁器の知識がなくても、惹かれてしまう。

天草創磁 久窯
所在地 熊本県天草市天草町高浜南2904
電話番号 0969-42-0287
開館時間 9:00~17:00(事前に問い合わせを)
定休日 不定休

<次のページ> それぞれに個性的な天草陶器のギャラリー

2014.06.28(土)

文=芹澤和美

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