“幸せのドレス”のお値段は8,000USドル~

親子でデザイナー。左がミラさんで、右が娘のリヒさん。リヒさんのストリートファッション感覚がなかなか好評とか。

 イスラエルの結婚式はなかなか華やかで、ゲストは親類縁者からご近所さんまで、軽く200人にはなるとか。ちょっとした式だと400人の招待客で賑わうらしい。そして、何といってもガーデン・ウェディングが主流。国土の60パーセントが砂漠で、年間降水量も少ないから戸外の結婚式には最適な環境というわけだ。

左:花モチーフは、人気の定番モチーフ。お色直し用のドレスも揃っている。
右:妊婦のマネキン……でも、どんどんお腹は大きくなると思うのだが。残念ながら聞きそびれてしまった。

 訪ねたのはウェディングデザイナー、ミラ・ズウィリンガーさんのスタジオ。この予約制のスタジオでは、クチュールのブライダルウェアを製作していて、世界中に“幸せのドレス”を提供している。糸からこだわったファブリック、特にハンドメイドの刺繍や凝ったビーズ使いで定評のある彼女のドレスは、レース、シフォン、タフタ、シルククレープ、ブロケード……と、女子には夢の世界だ。

左:ベースのマネキンを顧客の体型に合わせるのが、黒いパッド。
右:人気の花モチーフももちろんハンドメイド。
1本1本の糸を紡ぐところからこだわり抜いた生地を使うのが、プライド。

 ニューヨークやロンドンをはじめ世界中に拠点をもつとはいえ、本拠地はテルアヴィヴ。ワールドワイドな顧客の仮縫いには、顧客と同じ体型のマネキンをつくり対応しているとか。見せてもらったマネキンには、妊婦のダミーもあって……、いずこも同じご時世とみた。お値段、ドレス1枚8,000 USドル~。もちろん上限ナシのめくるめく世界だ。

 ナンデ、イスラエルでウェディングドレス? と思うなかれ。ガザ地区やヨルダン川西域など、紛争のニュースに目が行きがちだけれど、彼の国にも日常があって、“幸せ”を求める気持ちに境はナイ。もちろんパレスチナ問題に目をつむってはいけないけれど、こうしたことも含めてしっかり考えなくてはね、と思わせる国なのでありますよ。

凝ったビーズはイタリアから輸入。全体のシルエットと妥協のないディテールが肝心という。

大沢さつき(おおさわ さつき)
大好きなホテル:LAPA PALACE@リスボン
大好きなレストラン:TORRE DEL SARACINO@ソレント
感動した旅:フィリピンのパラワン島ボートダイビング、ボツワナのサファリクルーズ、ムーティ指揮カラヤン没後10周年追悼ヴェルディ「レクイエム」@ウィーン楽友協会
今行きたい場所:マチュピチュ

Column

トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート

大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!

2014.06.24(火)
文・撮影=大沢さつき