黄金バランスの取り合わせに、お弁当も!

 この定食の完成度の高さは、2種類の鶏料理を楽しめるということだけではない。食べてみてわかったのだが、モモは唐揚げに、胸はチキンカツに、と、肉それぞれの特性によって調理法を分けているという点がすごいのだ。

 唐揚げは竜田揚げ風に下味をバシッと付けて味を決めたもの。モモなのでジューシーで、サクサクした片栗粉系の衣とのコントラストを楽しめる。カツはというと、最近とみに愛おしく感じるようになった、上手に調理した胸肉のあの感じ。ふっくら&しっとりとしていて、上質な鶏肉の味がする。そして、淡白な分、別に添えられたごま入りの醤油だれを付けていただくのだ。

 白いご飯もお漬け物も美味しくて、久しぶりに胃をパンパンにするまで堪能。ちなみにランチタイムはご飯の大盛りが無料でできるそうだ。

 さて、さて、帰りしな。同じ店舗の入り口で売られているお弁当を購入。これは、家に帰ってからのお楽しみである。お弁当というのはできたてよりも少しなじんだくらいが美味しいものだ。

モモの照り焼きは焼き目がついて香ばしい。胸肉はスライス面がおしとやか。

 選んだのは「鳥めし松弁当」820円。「鳥めし竹弁当」710円もある。ほかにも、うなぎとの取り合わせやら、ソースカツ弁当やら、鶏肉が七変化。迷った末の、ベーシックのちょっといいやつにしたわけ。

 素敵な包装紙だったんだけれど、長旅の間にボロボロになってしまったので写真は撮れず。ふたを取ってびっくり、全然片寄ってない。お漬け物は少し寄っているけれど、鳥めし部分がまったく片寄らない。包装紙がバーストするほど雑に持ち歩いてこの結果……ちゃんと詰め過ぎ! うれしい! すごい! と大いに感心。

「松」はこれまたモモと胸の取り合わせ。両方とも照り焼き仕様だが、胸の方は焼き目はなくて、あとからタレにぐくらせて染み込ませているような感じだった。両方とも冷めてもちゃんと美味しく、モモはブリブリと、胸はしっとりと、またもやそれぞれの美点を前面に押し出しているのである。相変わらず美味しいご飯にあまからな照り焼きのタレが程よくしみ、鶏肉とご飯の間にあるちぎり海苔が、これまた絶対に存在しなければならないバランスのひとつになっている。

 イートインではチキンカツ重や焼き鳥も食べてみたいし、お弁当もまだまだチャレンジのしがいがある。お正月にはじまった「高崎鳥めし問題」はまだまだ攻略しきれそうにないのだ。ああ、高崎行きたい。群馬県出身のM君に心からの感謝を。

登利平 高崎モントレー店
所在地 群馬県高崎市八島町222 5階
電話番号 027-330-5454

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2014.06.25(水)
文・撮影=北條芽以