監督の狙いどおりに追い込まれた新作

――そういう意味では主演最新作となる『スイートプールサイド』は、いい意味でこれまでの須賀健太を裏切る作品となりました。今回の太田役を演じるうえでの覚悟みたいなものはあったのでしょうか?

 お話をいただいたときに「ほかの人にやらせたくない」と思ったぐらいやりたかった役で、正式に決まったときはスゴくうれしかったですね。最初、台本で読んだとき、あまりにブッ飛んだ世界観で、分からないながらも面白かったんです。あまりに濃いし、攻めているので、観る人によっては拒否反応を示す人もいるとは思いましたけど、それは冒険だなと思ったし、それよりもどこかカラフルで新しさを感じた。自分でも、そういう観る人を選ぶ作品を観るようになっていたし、そんな作品にどんどん出たいと思っていた時期だったんです。

――ちなみに、役作りのようなものはされたのでしょうか?

 最初は「今までにない作品を作ってやろう!」という気持ちでいたんですが、いざ自分が太田を演じると分かって台本を読み返したら、ものスゴく難しい役だった。そして、「なぜ、こんなに危なっかしい奴なんだ……」という疑問が残ったまま、リハーサルに入ったので、役作りみたいなものができなかったんです。それで、これまでの自分の引出しの中から芝居をしていたら、(松居大悟)監督に見透かされて、「芝居はするな。お前は太田として、そこにいてくれればいい」と言われました。

――つまり、当初の意気込みとは違って、現場ではかなり追い込まれていったということですか?

 そうですね。普段は役を引きずることもなく、撮影が終わったら「お疲れ様でした!」とさっさと帰れるんですが、この映画の撮影中は、作品のことが頭から離れなくて、何をしているときも太田でいたんです。それに自分の引出しにないものを要求されるから、撮影中は無我夢中で、冷静になる余裕もなかった。だから、とても辛かったですし、どんどん病んでいきました。撮影中に会った友達からも怖がられていましたし(笑)。でも、それが監督の狙いだったんですよ。

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2014.06.06(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央