まもなく鬱陶しい梅雨の季節。ついつい頭に浮かぶのは、北海道の抜けるような青空、どこまでも広がる大地……。爽やかな新緑の季節にふさわしいスポットを、札幌で刊行されている人気のライフスタイル誌「poroco」に紹介していただきます。

思わず目移りするほどの、可愛らしくも華やかな前菜

茶杯に北海道の山海の幸を盛りつけた「九龍口福前菜」2,500円(ディナー8,000円の前菜)。写真手前右から順に、イクラとクラゲの冷菜、きたあかりの軽い胡椒の香り、北寄貝のネギソース、知床鶏の棒棒鶏、ボタンえびの紹興酒風味、エゾシカ肉のジャーキー、緑と白の道産アスパラ、蝦夷つぶとウニの和え物、北海道野菜いろいろのチャイナピクルス。北海道の旬に合わせてメニューの内容は変わる。日本の職人の技術も大切にするという石井シェフのこだわりから、特注の九龍盆は新潟「ハイブリッド漆」でつくられたもの。

 JR札幌駅前から地下鉄で1駅、地下道を歩いてもわずか10分ほどで大通駅へ。札幌の駅前通りと大通公園が交差する角には「大通BISSE」というビルがあり、1階には地元で親しまれている洋菓子店を集めた「BISSEスイーツ」、上階には北海道でおなじみの雑貨やカフェ、グルメ店が揃っています。そのうち、「季璃香(きりか)」は女性に人気の中国料理店。「札幌で中華?」と思われるかもしれませんが、ラーメン屋に対して中華料理店の数が少ない札幌の中でも、このお店はひときわ異彩を放っています。

 北海道の食材にこだわった「北海道フレンチ」や「北海道イタリアン」と呼ばれる店が次々と登場していますが、まさに「北海道チャイニーズ」と呼びたいこのお店。北海道の旬の食材と気候風土に合わせ、陰陽五行に基づいた中国料理は、わざわざ訪れても味わう価値があります。たとえばコースの前菜ひとつとってみても、単なるキュウリやクラゲとは違って食材の彩りや特注の器の取り合わせからして好ましく、高まった期待は最後の一皿まで裏切られることはありません。

中国茶や中国酒とのマリアージュが料理の味わいをさらに奥深く

「大通BISSE」4階にある中国料理店。窓の外には、大通公園。四季折々の散策に便利なアクセス。

 まず、運ばれてくる料理の盛りつけの美しさ。うつわにまでこだわった個性的なかたち。一口ひと口の味わいがたまらなく美味しくて、「間違いない」と納得してしまう確かな味つけ。オーナーシェフの石井登さんによる、伝統的な技にオリジナリティーを加えたヌーベルシノワは、味や見た目の美しさもさることながら、「医食同源と滋養」をテーマに心も体も健康になれるような料理を心がけているそうです。中国茶もきわめている石井さんは、中国茶や中国酒とのマリアージュまで考えたメニューを提供してくれます。

 ミシュランの三ツ星は「旅行しても訪れる価値のある料理」といいますが、このお店の料理も、ほかでは味わえないものばかり。札幌にわざわざ足を運んでくる価値のある一軒だと思いますよ。

中国菜家 季璃香 (きりか)
所在地 札幌市中央区大通西3丁目7 大通BISSE4階
電話番号 011-219-2180
営業時間 ランチ11:00~15:00(14:30ラストオーダー) 、ディナー 17:30~22:00(21:30ラストオーダー)
定休日 日曜日(翌月曜が祝日の場合は営業)
URL http://www.kirica.jp/

月刊「poroco」 (ポロコ)
1997年に創刊した、札幌の生活情報誌。20~30代女性をターゲットに、札幌のグルメ・ショッピング・ビューティ・イベントなど生活を豊かに楽しくする情報を発信。毎月20日発売、450円(税別)。北海道の書店・コンビニ・キヨスクや「北海道どさんこプラザ」各店でも発売中。
URLhttp://www.poroco.co.jp/

2014.06.03(火)
撮影=中嶋 史治(BLUE COLOR DESIGN)