まもなく鬱陶しい梅雨の季節。ついつい頭に浮かぶのは、北海道の抜けるような青空、どこまでも広がる大地……。爽やかな新緑の季節にふさわしいスポットを、札幌で刊行されている人気のライフスタイル誌「poroco」に紹介していただきます。

まずアスパラの入荷を確かめてから飛行機のチケットを取る客も

ホワイトアスパラの時期、ほとんどのゲストが注文するという名物料理「ホワイトアスパラの塩釜焼き」2,400円(税別)。長い冬の雪を耐えたホワイトアスパラを、土の中から掘り起こす光景をイメージした料理で塩と笹で包み、高温で蒸し焼きにしたホワイトアスパラは、みずみずしくて、たちまちファンになる。同じく名物の、ホワイトアスパラと羊のコース8,500円(税別)も期間限定なので事前に確認を。

 札幌には、東京からわざわざ飛行機で駆けつけたいレストランがあります。「ラ・サンテ」もその一軒。旬の北海道食材で仕立てたフレンチを楽しみに、時期ごとに訪れるファンが多いといいます。5月から6月にかけては、ホワイトアスパラと羊の料理が評判。アスパラの入荷を電話で確かめて、先に席の予約をしてから飛行機を取る方もいるそうです。

 シェフの高橋毅さんは、フランスで修業していたころ、すぐ近くに生産者がいて、採れたての野菜や産みたての卵が厨房に運ばれてくる様子を日々、目にしていました。札幌に帰ってきたとき、あらためて自分の故郷が修業先のレストランと変わらない環境であることに気づかされます。札幌のまわりには、豊かな食材があふれている。自身の店をオープンした後、東京・築地市場で輸入されたアスパラを見たとき、「札幌なら朝採りの新鮮なアスパラが手に入るのに」と、地のものを使って料理をつくるようになったそうです。

 高橋さんは北海道の産地をまわり、いい食材をつくる生産者さんたちと出会い、直接とりよせるようになりました。新鮮な野菜はもちろんですが、肉については、店内につくった特製の熟成庫で、じっくりと旨みを引き出すようにしています。とくに羊肉については評判が高く、部位や熟成、調理方法を考えながらつくられた料理を味わえば、「お肉は新鮮な方が美味しい」という単純なものではないことがわかります。

「肩ひじ張らないでフレンチを楽しんでほしい」

お店では自家製の焼きたてパンも評判の味。気さくな雰囲気の店内は、地元客から出張中のサラリーマンまで様々な人が訪れる。テーブルのほか、カウンター席でおひとりさまでもOK。

 足寄(あしょろ)町の「石田めん羊牧場」の羊肉は年中通して味わえますが、初夏の限定はミルクラム。通常のラムと違い、繊細でとてもミルキーな味わいです。

「肩ひじ張らないでフレンチを楽しんでほしい」と、店内には地元の人もふだん着でリラックスしながら食事を楽しんでいる姿が。北海道の一流の食材で仕立てたフレンチが、小さなビストロで気ままに味わえる贅沢……。札幌の豊かな食生活を実感させてくれるお店です。

La Sante (ラ・サンテ)
所在地 札幌市中央区宮の森1条6丁目5-1 M1.6ビル2階
電話番号 011-612-9003
営業時間 18:00~22:30(21:00ラストオーダー)、土日祝のみランチ12:00~15:00(13:30ラストオーダー)
定休日 水曜、第2木曜日、平日のランチ
URLhttp://www.la-sante.jp/

月刊「poroco」 (ポロコ)
1997年に創刊した、札幌の生活情報誌。20~30代女性をターゲットに、札幌のグルメ・ショッピング・ビューティ・イベントなど生活を豊かに楽しくする情報を発信。毎月20日発売、450円(税別)。北海道の書店・コンビニ・キヨスクや「北海道どさんこプラザ」各店でも発売中。
URLhttp://www.poroco.co.jp/

2014.05.27(火)
撮影=中嶋 史治(BLUE COLOR DESIGN)