この宿の“ならでは” その3
「潮騒と緑に寛ぎ、季節を語る花の美しさに癒される」

風が心地よい本館の中庭。潮騒に耳を傾けながらくつろぎたい。

「界 熱海」に到着して、潮騒の音の心地よさを改めて感じる。寄せては返して続く波の音は、1/fゆらぎという自然界にある癒しのパターンとか。そんな音に時には耳を傾け、お茶と菓子をいただく。これも本館は熱海の名物である梅を使ったお菓子にお茶、別館は目にも鮮やかなミントティーに洋菓子と、それぞれに特徴のあるおもてなし。「界 熱海」は、熱海の繁華街からは離れた伊豆山にある静かなお籠リ宿として、寛ぎの時間を提供してくれる。

梅酒に漬け込んだ梅を合わせて。また、梅酒緑茶と一緒に出たのは、訪れた5月ならではの柏餅。
カヌレやマカロン、ゼリーなどすべてシェフの手作り。庭で採れた新鮮なミントが香るお茶と。ハーブティー&小菓子(800円)。

「界 熱海」のしつらえには、そこここに花があしらわれて、四季の美しさを感じさせてくれる。周辺にも花の名所がたくさんあって、その時々に楽しめる花の暦ができるほど。

 まず、熱海の市の花として有名な梅。明治19年開園と歴史のある「熱海梅園」が有名だ。咲き始めは11月下旬~12月上旬に始まって、3月上旬まで楽しめる梅が58品種、時期をずらして咲いていく。熱海の駅からバスで約15分ほど。

熱海といえば梅、というぐらい有名な「熱海梅園(外部サイト)」。時期によって咲く梅が異なり、3カ月ほど楽しめる。要入場料。

 また、1月上旬の寒桜から始まって桜も3月下旬まで咲く。近くの「アカオ ハーブ&ローズガーデン」では、4月にはチューリップ、5月にはバラが咲き誇る。6月になれば、少し足を延ばすと、城ヶ崎で美しいアジサイを見ることができる。

約20万坪の広大な庭園「アカオ ハーブ&ローズガーデン(外部サイト)」。海と美しい景色の中に、花開く庭が点在する。要入場料。

 潮騒に緑に季節の花、いずれも自然が与えてくれる癒しに浸れる贅沢な場所だ。

星野リゾート 界 熱海
所在地 静岡県熱海市伊豆山750-6
アクセス JR熱海駅よりタクシーで約5分
電話番号 050-3786-0099
URL http://kai-atami.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2014.05.25(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=深野未季