この宿の“ならでは” その2
「こだわりのご当地の食材を使った、朝に夕に楽しめる食事」

まるで貴族のお屋敷で食事をしているようなダイニング。ヴィラ・デル・ソルの名が入った皿は大倉陶園による限定品。

「界」の特徴は、ご当地へのこだわりがすべてにあること。食事には、地元のものを最大限に生かす料理が並ぶ。

ぷりぷりの蛤と白アスパラのクリームソースにエディブルフラワーを添えて。
本日はよいのが入ったとのことで、メインは真鯛のソテー。

 クラシカルな洋館でいただくヴィラ・デル・ソルの食事は海の幸を使ったフレンチ。金野茂シェフは「メニューに合わせて仕入れるのではなく、その日に獲れた海のもので、毎日メニューを考える。作り置きはなし、お客様に出す前に火入れは1回、最高の火加減でお出しします。野菜はここから10分ほどの谷口農園から仕入れ、ハーブは敷地内のものも」と、そのこだわりを語る。

朝食は2人で取り分ける山盛りのサラダとクラムチャウダーがご自慢。

 ディナーに上がった「蛤のクリームソースと塩焼き」という2種の調理法で楽しむメニューも、蛤を最もおいしく味わうためにこの2つを楽しんでいただきたいというシェフの思いからだろう。ぷりっとして驚くほど大きな蛤の、柔らかさと香ばしい磯の風味の両方が味わえる。また、スープ・ド・ポワソンには魚介のエキスが凝縮され、メインには真鯛の新鮮さを生かしたグリエと、まさに海の幸が堪能できる料理が並んだ。

どこから箸をつけようか迷ってしまう八寸(左)とお造りの盛り合わせ(右)。どの品も手が込んでいる。

 一方の和の本館では、お部屋でゆったりといただく会席料理。相模湾、熱海、伊豆の海の幸を中心に和牛など山の幸も交えて、先付けから甘味のデザートまで次々に運ばれてくる。お酒が進みそうな八寸に、浅利も入ってこぶみかんやレモングラスがエキゾチックな香りを添える金目鯛の八香蒸しが名物料理だ。

伊豆といえば脂ののった金目鯛が有名。エキゾティックなハーブが香る本館のメインのお料理。

 朝食も和と洋それぞれ全く異なる。本館に宿泊した場合は、アジの開きを中心とした海辺の宿の和朝食か、または新鮮な野菜が盛られたサラダ、スクランブルエッグとハムに名物のクラムチャウダーが並ぶ別館の洋食も選ぶことができる。

お部屋でいただく和の朝食もまたよし。品数も多くて、ゆっくりと楽しめる。

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2014.05.25(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=深野未季