品川は、本屋好きにとっては、とても不思議な町だ。駅ナカ書店は、JR系のBOOK EXPRESS、セレクトショップ的なPAPER WALL、新幹線改札内のブックスタンド的な三省堂書店(北改札内と南改札内の2カ所)、性格の違う書店が集まっている反面、駅の外にはあまり書店がない。書店どころかもともとは何もなかった海側、国鉄操車場跡地は、巨大なオフィスビルが並ぶ再開発地区となっている。

品川駅東西通路。高い天井とディスプレイがどこかSFっぽい。

 このエリア、品川インターシティと品川グランドコモンズ合わせて十棟あまりの高層ビル群が、スカイウェイという空中回廊でつながれ、取材日はあいにくの雨だったが、そんな日も駅から濡れることなく歩いて行ける。今回訪ねたくまざわ書店品川店は、品川インターシティの最も駅寄り、印象的な楕円形のビルの2階、スカイウェイに沿った立地。通りすがりの多い駅ナカ書店に比べ、言わば、品川駅東口地区再開発地区という巨大な町の住民に愛される、町の本屋さんだ。

品川インターシティ。ビル群を空中の回廊が結んでいる。
くまざわ書店品川店。スカイウェイ沿いの便利な立地。

 売り場を見ると、やはりビジネス街の立地からか、ビジネス書が充実。専門的なコンピューター書が多いのもIT企業が多く入居するからだろう。文庫と文芸書の担当、柴田真里江さんによると、混雑するのは平日の昼休みと夕方退社時間以降、近隣のオフィスからのお客様が多く、決まって発売日に雑誌を買っていく方など、常連の方もかなりいらっしゃるようだ。コミックエッセイに立ち読み防止のビニール包装をしていないのは、大人な(マナーのよい)お客様が多いからという。

ビジネス書新刊。立地から、ビジネス書やコンピューター書が充実。
コミックエッセイ棚。大人なお客様が多いので、ビニール包装をしていない。

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2014.04.26(土)
文・撮影=小寺律