世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第30回は、芹澤和美さんがトルコで訪れた2つの街の魅力について。

オスマン朝の面影を残す自然豊かな古都

 観光地として賑わうイスタンブールから、船と車を乗り継ぎ約3時間。ウル山の麓に広がるブルサは、「イエシル(緑の)・ブルサ」という別名があるほど、自然が豊かな街。そして、オスマン朝時代に造られた多くの遺跡が残る、美しい古都でもある。

山の斜面にカラフルな家が建つブルサは、緑に恵まれた美しい古都。

 ブルサに残る遺跡のなかでも、女性が一番心を奪われるのは、「イエシル・トゥルベ」ではないだろうか。ここは、オスマン帝国の5代目皇帝、メフメット1世とその家族が眠る霊廟。ターコイズブルーのタイルに彩られた八角形の建物は、いたるところにきめ細やかな彫刻が施され、その美しさはため息が出るほど。中には、金色のカリグラフィーが彫りこまれたメフメット1世の豪華な棺がある。

外壁を覆うブルーのタイルが美しいイエシル・トゥルベ。一見するとお墓とは思えないほど華麗。

 霊廟の隣にあるのは、1424年に建てられたモスク、「イエシル・ジャーミー」。外壁には色鮮やかなブルーのタイルが貼りめぐらされ、内部はライトグリーンのタイルに覆われている。青みを帯びた緑の美しさは、まさに、緑の街ブルサの象徴。

空にブルーが映えるイエシル・ジャーミー。中に入れば、荘厳かつその美しい内装に、しばしうっとり。

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2014.04.22(火)
文・撮影=芹澤和美