友達や家族との連絡にメールは欠かせず、タスク管理やダイエット記録もアプリでラクラク……。そんな、デジタル化が当たり前の昨今ですが、手書きのスケジュール帳がヒットするなど実は「ノート」の存在が見直されています。

 ところで文房具売り場に足を運ぶと、ずらりと並ぶノートを目の前に「どう選んでいいかが分からない」と感じたことはありませんか? そこで文房具業界大手、コクヨS&T広報の伊藤裕美さんに、ノート選びのポイントをレクチャーしてもらいました。

「書き心地」「使い心地」を追求した「キャンパスノート」

 ノートといえばお馴染みのこちらの表紙。キャンパスノートの国内使用経験率は91%にものぼるそうです(コクヨ調べ)。このノート、1975年に誕生以来、2014年で39周年を迎えるベストセラーで、現在まで計26億冊、3秒に1冊売れているという驚異の売り上げを誇ります。歴代ノートの表紙に見覚えのある人も多いかもしれません。

左から、1975年発売の初代キャンパスノート、1983年発売の2代目、ロゴが縦になった1991年発売の3代目、2000年に発売された4代目。5代目は2011年の発売。表紙のデザインはもちろん、中紙の書き心地などにもこだわって進化。

 キャンパスノートの発売元であるコクヨは、1905年、「和式帳簿」の表紙の製造にはじまった会社なのだそう。1913年には洋式帳簿の製造を開始。その頃、時代は生活の西洋化が進み、筆記用具は筆からペンへ移り変わる変革期でした。そこでペンでの「書き心地」「使い心地」にこだわって特別な紙を使った帳簿を売り出して大ヒット。そのこだわりの精神はキャンパスノートの開発にも受け継がれていると言います。

サイズ、綴じ方、紙質……。自分にぴったり合う一冊を見つけよう

 ノートの好みや使い方は十人十色。だから、「自分がノートをどういうふうに使っているかを振り返ってみると、ぴったりなノートを見つけることができますよ」とコクヨS&Tの伊藤さん。例えば、B5のノートの右端がいつも余ってしまうという人。横書きのノートの場合は左から書きはじめるので、仕事のメモ用にノートを使っている人のノートは右側に余白ができがちなのです。そういう時は思い切って「縦長」のノートを選ぶのも手。

 そして仕事の打ち合わせが続くとき、実は「隣のページを目の前の人に見られたくない」と、ついページを折り返したり、まだ書くスペースが余っているのに新しいページをめくってしまう人も多いと言います。そういう人にはリングノートが便利だし、立ってメモをすることが多いなら背表紙の硬いノートを選ぶといいそう。

左:(写真上)「キャンパスツインリングノート<simple tone>」(セミB5サイズ486円)はマットな表紙の仕上がり。6色展開で、移り気な女性でも好みのノートを見つけられそう。(写真下)人間工学に基づき開発された「キャンパスノート スリムB5サイズ」(151円~)。縦長のスリムサイズが特徴で、横幅は日本人の平均的な手のひらサイズで持ちやすい146mm。片手で持ちながら書くことが容易。
右:表紙がブルーの「キャンパスツインリングノート<simple tone>」はタテ252×ヨコ179mm。測量士向けに開発された165×95mmの「測量野帳」(194円)は表紙が硬く、片手で持って書きやすいと隠れた人気商品。
「装丁ノート」(1,296円)。9年の開発期間を経て完成した紙「コクヨ帳簿用紙」を使用したノート。レトロな表紙も魅力的。

 また、最近のトレンドは、書き心地にこだわった高級ノートなのだとか。「コクヨでは100年の歴史を持つ『洋式帳簿』の風合いを活かした『装丁ノート』を2013年に発売しました。1,296円と高額ながら、良質な紙を使っているため万年筆が滑らかにすべる極上の書き心地が魅力で人気です」(伊藤さん)

 書き留めたことを何度も見直したい人や、書き綴ったことを大切に保管したいという人にぴったり。仕事に使うのはもったいない? いえ、高級ノートだからこそ丁寧な仕事ができるのかもしれません。

 デジタル時代の今、改めてその良さが見直されている手書きのノートですが、進化したIT技術を活用しない手はありません。次のページでは、書いたものをデータ化できる最新ノートに注目。さらに懐かしい「あの」書き心地を再現した、筆記用具を教えてもらいました。

<次のページ> IT時代にぴったりな、PC連動型ノートにも注目

2014.04.15(火)
文=鈴木糸子
撮影=中井菜央