美味しいのは当たり前。見た目のデザインや仕上げの美しさも大切

ビスキュイ・ロゼ・ド・ランス 150円(3月~5月上旬の期間限定販売)

 ジャン=リュック・ムーランさんは、フランス・リヨン生まれ。フランスでパティスリーの修業を積み、リヨンのチョコレート専門店『モーリス ベルナション』や3ツ星レストラン『ポール・ボキューズ』等で勤務、パリの『ル・ノートル』などで研修。来日してからは、ヒルトンホテルやスイスホテルなどの一流ホテルでパティシエとして働き、辻製菓専門学校で講師も務めました。そして、2009年5月、大阪府豊中市に自店『パティスリー ジェイ・エル ムーラン』をオープン。

左:かわいい外観。 
右:ジャン=リュック・ムーランさん。

 阪急宝塚線曽根駅から徒歩5分の所にあるお店は、オープンキッチンで決して大きなお店ではありません。でも店内に一歩入ると甘い香りが漂い、美しいお菓子がぎっしり並んでいます。大阪や神戸の都心ではなく、住宅街で本格的なフランス菓子に出合ってびっくり。

 お店がある曽根の街は、昭和初期から住宅地として開発されて、大きなお屋敷が建ち並び、かつては「西の芦屋、東の曽根」と称されていたそう。北大路魯山人が関わった料亭「大阪星岡茶寮」があったのも、この地なのだとか。

「フランス菓子を伝えたいと、来日して27年。お店のお菓子の70%から80%は、フランス菓子です」とシェフ・ムーランさん。「初めてのお客様が来られて、食べ慣れたイチゴのショートケーキやプリン、シュークリームを買い求められる。そんなお客様に、本格的なフランス菓子をぜひ食べてみてくださいと積極的に勧めています」とにっこり。フランス菓子のリピーターも多くなり、わざわざ遠方から買いに来るお客様も増えてきたといいます。

左:店内のショーケース。
右:焼き菓子コーナー。

「日本では、スポンジ生地をベースにしたケーキが多い。フランス菓子は、スポンジ生地の他、クッキー生地、パイ生地、メレンゲ生地など、ベースとなる生地も様々。たいへんな手間がかかりますが、それこそが本物のフランス菓子です」とムーランさん。タルト生地、ジャム、コンポート、メレンゲ……。全てをフランス仕込みのテクニックやセンスをいかして、店の厨房で手間をかけて手作りしています。「美味しいのは当たり前。見た目のデザインや仕上げの美しさも大切です」。

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2014.02.23(日)
文・撮影=そおだよおこ